リーダーの役割で最も難しい側面の1つが、いつプロジェクトに「判断をつける」のかということだ。納期を延期すべきか、それとも、たとえ当初の目標をすべては達成できなくても、チームに数時間残業してもらって納期までにプロジェクトを完了することを目指すべきかを決める必要がある。ごくまれに、必然的にこの決定が下されることもある。
作っているものが飛行機や生命維持装置なら、納期に間に合わせるためだけに、明らかに欠陥のある製品を出荷する可能性は低い。同様に、例えば合併の成立や大統領選挙など、製品やプロジェクトが納期を動かせないものに関わってくる場合は、機能性や機能の搭載を断念して出荷または公開することを余儀なくされる。
このようなケース以外の場合は、難しい決定を下すことが余儀なくされる。
周囲の意向を把握する
ほとんどの組織とプロジェクトの場合、納期に間に合わせるか、または機能面で可能な限り完璧に近いものを出荷するかのどちらかに寄る傾向があるのが普通だ。自分の組織のこれまでの傾向やそのほかの最近のプロジェクトに注目して、手がかりを探してみよう。皆が最新の製品のバグのことを気にして仕方がないのなら、「正当な」成果物を公開する方に考えが寄っている可能性がある。ライバルより先に製品を市場に投入することに皆が夢中になっているのなら、納期までに出荷することの方が重要かもしれない。
こうした風習は製品やプロジェクト、社内の出荷または公開担当チーム、社外のパートナーによって変わることがある、ということに注意しよう。ステークホルダーが組織内の考えの偏りを修正するために、部外者やコンサルタントを招き入れて、自分にとって「不利な状況」を作り出す可能性さえある。したがって、自分の企業が常に納期までに出荷や公開を行ってきたからといって、最新の取り組みが同様の道を辿るとは限らない。
組織の考えが納期優先と完璧に近い完成度優先のどちらに寄っているのかを大まかに把握できれば、どちらの考えがリスクになるのかという選択肢を考える際の指標になるだろう。さらに、予定と機能性のどちらがより重要なのかをステークホルダーに直接尋ねてみてもいい。最初は誰もがその質問に「両方」と答えるだろうし、それを尋ねた後に、厄介な質問をされる可能性もあるが、直接話し合うことによって疑問を解消できることもある。
失敗の基準と「執行者」を明確にする
マネジメントと出荷/公開に関する多くの方法論では、プロジェクトの最初の落ち着いている段階で、慎重に検討し、共有していく指標となる、失敗の基準を定義するよう勧めている。後に手が付けられない状況が発生したとき、これらの基準を使って、プロジェクトを判断することができるのだ。残念なことに、多くのリーダーはこの作業をぞんざいに扱う。あるいは過剰に楽観的または悲観的で、失敗の基準を前もって定義することは本質的に無益だと考える。自分がこの状況にいると感じたら、プロジェクトの現状と素早く比較できる3~12種類の指標を策定してみよう。必ず成功させなければならない中核的なトランザクションや機能があるかもしれないし、あるいは、最も重要な機能的失敗を除いて、全てに優先する市場投入に向けたコミットメントがあるかもしれない。
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