話す前に考えよ
どういうわけか、われわれの多くは沈黙を弱さの表れと捉え、会話に少しでも隙間ができると、適当な言葉やまとまらない考え、または最悪の場合、うーん、えーと、あー、などで埋めようと必死になる。しかし、次に会話する時には、話す前に時間をとって考えを組み立てよう。上記のような言葉で合間の沈黙を埋めたくなる衝動は、意識的に抑えるのだ。一時的な沈黙によって一層多くの注意を引くことができるし、沈黙の後で思慮深く巧みに表現された発言をすることで、伝えているメッセージの重要性が際立つ。この戦術を繰り返し使っていれば、息を吸い込むたびに会話が自然に止まり、話す準備をする間に思慮深い表情が浮かぶようになる。
また、自分自身が聞き手となった際の体験について考えてみよう。ほとんど喋ってばかりいる人や、ごくわずかな沈黙をも埋めまくる人が、最も注目を集めるということはまずないはずだ。むしろ、簡潔で思慮深い発言をする人の方が、周囲の注目を集めるものだ。
言葉の研究者であれ
そこかしこで言葉が語られ、書かれているため、実践的な応用例を見つけて、自分の言葉の使い方を豊かにするのに活用することはたやすい。同僚の話を聞く中で、いつも共感できるメッセージを伝えてくる人がいたら、具体的に何がその説得力を生み出しているのかを見極めてみよう。その人の話し方なのか、言葉の選び方なのか。それともメッセージを凝縮させたり、聞き手に直接関連付けたりする能力なのか。
言葉の力を使いこなすことにもっと時間を投資する意思があるなら、ポッドキャストやオーディオブック、ラジオ番組を聞き、話し手のどういうところが好きか、また嫌いかを明確にしてみよう。話し手たちは、言葉、伝え方、声のトーン、そして話す速さをどのように組み合わせているだろうか。漫談ですら伝え方やタイミングを教えてくれるし、聞き手に関することと結びつけて親近感を生み出すやり方も教えてくれる。
説得力を持たせる要素を特定できたら、1度に1つか2つに絞って活用しよう。まずは、沈黙を埋めるための言葉をやめるとか、会話や書面によるコミュニケーションで略語を使わないといった簡単なことから始めるのがいいだろう。電子メールやプレゼンテーション資料などの書面によるコミュニケーションでは、数分の間、受け取る人の視点で文書を読んでみよう。相手が持つであろう疑問に答えられるだろうか。相手の注意を引き、保つことができるだろうか。メッセージを読んだ後、相手に行動をどう変えてほしいのかが明確になっているだろうか。
伝え方の中でも特に簡単な要素に集中したとしても、数週間もすれば、自分が伝えようとしているメッセージに対して同僚が以前よりも注意を払っていることに気づくだろう。そして自分が言葉を使うことによって、より多くの行動が取られていることに気づくはずだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。