ミレニアル世代へのアプローチで重要性を増しているのは「スマートフォンでの購買体験」だ。
アクセンチュアの調査では現在、アジアのスマートフォンユーザーの割合は、全世界のユーザーの50%以上を占める。特にシンガポールとオーストラリアでは、スマートフォンの普及率が80%を超えており、世界的にも高い水準を示す。また、アジアのミレニアル世代のスマートフォン利用時間は1日平均2.8時間(年換算で42.5日)であり、スマートフォン経由での購買経験を持つユーザーは40%を超えるとした。
こうした一人ひとりに合致したマーケティングやスマートフォンでの購買体験向上にIT部門はどのように取り組んでいくべきなのか。
「IT分門には“イノベーションをサービスとして提供する”ような意識がほしい。顧客ニーズに応えるためには、アジャイルな開発体制や 試行錯誤できる環境が必要だ。顧客が利用するアプリを提供するチームには迅速にニーズに応えられる”DevOps"の意識が不可欠だろう。既存のシステム運用は重要だがレガシーなシステムと新たなテクノロジが混在する状況がこれからずっとつづくわけではない点を留意すべきだ。“スピーディなデジタルイノベーション”のためにIT部門がスタートアップ企業と有力ブランドの技術的な橋渡しになる。チャネルの連携やさまざまな企業・組織との連携を通して、顧客体験価値の向上につながるオペレーションとサービス、ビジネスそのものを、いかに改善できるか。その責任の一部をIT部門を担う必要がある」(Correia氏)
Correia氏が示す「スタートアップ企業との協業」の一片が会場の展示にあった。画像認識による小売店向け分析サービスであり、スーパーマーケットなどの陳列棚の写真を送信すると、各製品の売り上げや配置に関する情報(位置が低すぎる、同じ色の製品を並べすぎているなど)のフィードバックをもらえる「Trax」や、 ショーウィンドウのマネキンが、通りすがりの人のスマートフォンに商品情報を送れるBluetoothビーコン利用したサービス「Iconeme」を紹介。
さらに食べ物、楽器などあらゆるモノを検索できるARアプリ「Blippar」などがあり、小売業界・消費財業界の店舗の未来を示していた。