他社と違うやり方で新規市場に参入
現在のソニー生命保険は、ITを積極的に活用している。Windows 95のリリースと同時に、営業担当者にPCを配布した。現在ではペーパーレス化を実現。顧客の面前でサインをもらった瞬間に、保険を引き受けられる。モバイルを使った営業支援も実現している。
井原氏は、ソニー生命保険が成長した要因をいくつか挙げる。
成功要因の1つは、差異化されたビジネスモデルだ。他社と違うやり方で金融業界に出て行ったことが成功につながった。
例えば、ライフプランナーとなる人材は、保険業界からは採用せず、他業界から優秀な人を採用して教育する、というやり方をとる。「保険を知らない白地の人の集合であることが重要」(井原氏)。給与面ではフルコミッション制を採用。社員であると同時に、独立した個人事業主でもある。
成功要因の2つめは、顧客第一主義による事業運営だ。「掛け声だけでなく、実践できていないと、市場が広がらない」(井原氏)。
例えば、紹介の連鎖によってマーケットが広がる。「心の底から満足しない限り、大切な友人や親戚を紹介したりはしない。だから、今の顧客を満足させることが何よりも重要だ」(井原氏)
成功要因の3つめは、経営理念の継承だ。井原氏は『ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則』という書籍を引き合いに出し、「時代とともに事業の中身が変わったとしても、経営の理念が反映されているかどうかが成功し続けるかどうかの差を生む」(井原氏)と説いた。