「マイデータ」の時代

「私の情報は広告のためのものではない」--個人主導データ流通がもたらす変革 - (page 2)

伊藤 直之(インテージ)

2017-05-16 07:00

 この記事で、筆者が所属するインテージが2016年9月に実施した「データ流通とプライバシーに関する意識調査」からPDS(パーソナルデータストア)と情報銀行に対する生活者の受容性について解説した。今回はこちらの調査結果を深掘りして紹介したい。本記事では具体的な数字はあまり載せないが、各設問の詳細なデータについては内閣官房のデータ流通環境整備検討会の「AI、IoT時代におけるデータ活用ワーキンググループ」で発表した資料が公開されているので、そちらをご参照いただきたい。

パーソナル情報利活用不安層も利用意向のあるPDSと課題のある情報銀行

 日本人の特性として、難しい設問では中間選択肢を選択してしまう傾向があるため、意図的に中間選択肢を作らずに利用意向の有無をはっきり回答していただいた。その結果として、6割以上はPDSを利用したい意向がある一方、情報銀行は3割に留まった。


PDSと情報銀行の利用意向

 この結果に、企業によるパーソナル情報の利活用によって、受けられるメリットがあると期待している層とプライバシー侵害などのリスクへの不安がある層に分けて掛け合わせると、PDSは期待層だけでなく不安層からも6割以上の回答者が利用意向あった。一方、情報銀行は不安層からの支持は得られていないことがわかる。


企業によるパーソナル情報利活用への意識とPDSと情報銀行の利用意向

 これは、情報銀行の実態や信用できるのかどうかなど不明瞭な点が多いためである。しかしながら、個人が自身の情報をコントロールしたいという意向の高さがありつつも、個人がPDSを使いこなし自分の情報を求める企業と取り引きができるほどのリテラシーがある生活者は多くはないはずである。情報銀行のような企業との個人の代理となる仲介をする第三者の存在は不可欠なのだ。

 それでは、PDS/情報銀行の利用意向がある回答者にはどのような特徴があるのだろうか。

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