事業会社で取り組むデータ分析の実際

全従業員の3分の1が毎日使うBIを内製--「分析の深化」を目指すDeNA - (page 5)

伊藤徹郎

2017-05-29 07:00

--とても厳しい点数ですね。私はもっと上の点数をつけてくれるのかと思っていました。では、もっと高い点数がつけられるような施策を教えてください。

 友部氏:今のメンバーは比較的若いメンバーが多いです。とてもやる気があってよいのですが、新しい手法をやりたがる傾向にあります。しかし、実績がないので、その辺りを実験的にうまくやってくれるメンバーにきて欲しいと思っています。

 もちろんゲームにもアナリティクスにも興味があることが大前提です。ある特定ドメインの専門家だとその専門に偏ってしまうので、バランスのある人が加入してくれることが鍵になると思っています。

 半田氏:アナリティクスチームが立ち上がった時は幸運にもいろんなバックボーンのあるメンバーが集まって、良い組織ができましたが、運用していくにつれて型にはまってしまいました。

 ある程度事業部から期待されている期待値もあるので、そこにフィットしている感じです。先ほどあげたAIのテストプレイの施策のような提案型の施策を増やしていきたいと思っています。

 あれは特に求められていたものではなかったのですが、こちらから提案して実現したプロダクトなんです。このような提案型の施策が普及することである程度打破できると思います。

--データ分析者のキャリアをどのようにお考えでしょうか


 友部氏:基礎的なスキルとして数学や統計に関する知識は身につけておくべきでしょうね。その上で、身につけるのはコミュニケーション能力やサービス感だと思います。

 なぜなら、データ分析者がどれだけいい分析をしようとわれわれの組織のプランナーやエンジニアが動けなければ価値がありません。彼らが動きやすいようにデータを基にした適切なコミュニケーションが取れれば、今後のキャリアとしてもしばらくは安泰ではないでしょうか。

 当社ではアナリストを経験して、そのままキャリアを磨いているメンバーもいますし、事業リーダーをやっていたり、エンジニアリーダーになっていたり、EC系の新規事業を作っている人もいるので、1つのロールにとどまらないキャリアもあっていいと思いますね。

 半田氏:ビジネスコンサルティングスキルやドメイン知識やノウハウの蓄積、高度な機械学習、大規模データエンジニアリングなど、自分の得意領域を突き詰めていく道あるでしょう。そういうスペシャリストの仕事を見るとそれぞれの分野において、自分はまったく歯がたたないなと(笑)

 いろいろかじりつつ、総合的にチームをコーディネートしたりまとめたりする道を見ています。

--最後に今後のデータ活用における業界展望をお聞かせください。

 友部氏:われわれが対象としているサービスは「ひと」を介しているものが多いです。

 人間とはなんぞや、ということが解明されたら、AIなどによりサービスをすべて自動化されてしまうかもしれません。そうしたらデータサイエンティストは必要なくなるかもしれませんが、まだそれは先の未来の話かな、と思っています。

 半田氏:私も同じような考えですが、AIなどはあくまで分析の手段に過ぎないと思っています。どんなサービスを作っていくのか、そのためにどんな分析や研究をするのか、ということはずっと人間が考え続けていくのだろうと思います。

伊藤徹郎
インターネット金融グループを経て、データ分析企業でデータアナリストとして様々な業種の企業を支援。その後、大手レシピサイトでデータ分析やディレクター業務などを経て、現在はFinTech企業でデータ分析やサービス開発などに従事。RとSQLをよく書いている。

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