首都圏や近畿圏を中心に会員制総合フィットネスクラブを展開する東急スポーツオアシスは、データ活用の取り組みの一環として、ビジネスインテリジェンス(BI)ツールを導入した。会員情報や営業情報を統合的に可視化し、迅速なアクションにつなげることで成果を上げている。
東急スポーツオアシスは、フィットネスクラブ・ジム、キッズ教室、ダンススクール、シニア向けプログラム、フィットネスグッズ販売、法人向けサービス、天然温泉スパなどを運営。トレーニング内容などを管理できる独自モバイルアプリ「OASIS LINK」を提供するなど、多様なニーズに対応した付加価値提供に注力しているという。
同社では現在、会員がわずらわしいと感じる点を解消するとともに、きめ細やかな顧客対応をすることにより、自社と会員との関係をより緊密な“人と人との関係”に昇華させることを目指し、データ活用に取り組んでいる。その一環として今回、Salesforceに蓄積した会員情報や営業情報を「MotionBoard Cloud for Salesforce」で統合的に可視化する仕組みを構築した。
この仕組みを用いて、新規会員の獲得や既存会員の定着に関する大量のデータを視覚的に表示し、経営陣の的確な意思決定やビジネス現場での迅速なアクションを促すようにしており、新規会員の獲得や既存会員の定着に関する目標値を確実に達成できるようになるなど、既に大きな成果を上げているとのこと。
トップ画面。現在の会員数、今月の入会者・退会者の予実をダッシュボードとしてまとめてある。
比較グラフボード画面。様々な指標をグラフィカルに表示することが可能。
現在では、店舗ごとの会員獲得状況や、見学や体験などで訪れた見込み顧客の状況を日次レベルで詳細に確認できる。導入当初は、導入当初は社長のほか店舗統括以上の経営幹部にのみアカウントを用意していたが、後には活用の幅が広がったことと、よりタイムリーに仕掛けを行っていくために全36店舗にアカウントを付与している。
これにより、一元化した正確な数字を全店舗で共有し、その数字を元に現場に指示、迅速なアクションに結び付けている。今後は、幹部社員だけでなく、店舗マネージャーや営業部門など、より現場に近いユーザーもダッシュボードを直接操作できるようにし、現場レベルでより自発的・自律的なデータ活用や意思決定を後押ししていく計画だ。
また、BIの活用で報告書のためにExcelで集計するといった作業が不要となり、目に見えるほど業務が効率化されていることから、より多くのユーザーにBIを利用させ、スタッフが本来やるべき接客やサービスを充実させていく考えもあるという。
さらに同社は、2020年の東京オリンピック/パラリンピックに向けて高まる運動や健康への需要に対し、自社アプリのOASIS LINKとICチップ付リストバンドを連動させた健康ビッグデータの蓄積により、会員への健康維持に関するきめ細やかなフォローや、商品開発への活用など、高度にデータを活用する構想を持っている。