IT分野のリクルーターや雇用責任者の間では、この1年間でもっとも雇用するのが難しかったIT関連の職種は、コンピュータや情報分野の研究者、情報セキュリティアナリスト、コンピュータシステムのエンジニアやアーキテクトだということで意見が一致している。これらの職位の多くは、理工学分野出身の、研究やスキルの習得に長年を費やした実務者を求めている。
こういったスキルを持つ人材は希少なため、雇用側に対する要求も高い。最高情報責任者(CIO)が適切な候補者を見つけてオファーをする場合、ストックオプションと6桁ドルの給与を提示する。しかしもちろん、それだけの条件を提示できない企業もある。
これよりも人材獲得の難易度が一段下がる職種としては、モバイルアプリ開発者、ウェブ開発者、セキュリティの専門家、ネットワークエンジニアや、SAPのERPソフトウェアの専門家などの特定のアプリケーションや特殊なデータベースに詳しい人材、Oracleなどのソフトウェアのデータベースの専門家などが挙げられる。これらの人材の給与は、コンピュータシステムエンジニアや情報セキュリティアナリストほどではないが、獲得競争はやはり激しい。
ほかにも問題になる要素はある。ITマネージャーが欲しがるのは、初心者ではなく経験を積んだ人材だ。あらゆる企業が同じスキルをもつ人材を欲しがっていたり、人材が少なかったりすれば、競争は激化する。
では、求人市場に求める人材が少ないときに、これらのスキルを持つ人材を獲得するにはどうすればよいのだろうか。この記事では、役に立つかもしれない6つの戦術を紹介する。
1.スタッフの人的ネットワークを活用する
筆者が中規模企業のCIOを務めていたとき、大企業と真っ向から勝負すれば、データベース管理者やシステムプログラマーを獲得することはほとんど不可能であることを知った。そこで筆者は、別の方法を試してみた。これらの分野のもっとも職位の高いスタッフと話をし、彼らの技術者ネットワークでつながっている「優秀な知り合い」に声を掛けてほしいと頼んだのだ。スタッフが個人的なネットワークをたどり始めると、すぐに同じ町の向こう側にある有名大学卒の優秀なシステムプログラマーが見つかった。その後、大手食品飲食メーカーに所属していた、熟練したソフトウェア開発者も雇うことができた。もしスタッフが、自分の会社で働くメリットを伝えてくれていなかったら、それらの人材を獲得することは絶対にできなかっただろう。