IT分野の優れた人材を採用するとなると、近場に拠点を構えている企業や、ライバル関係にある近隣の同業他社と競い合うだけでは済まない。世界中のありとあらゆる企業と競い合うことになる。
提供:Joe McKendrick
企業のIT部門はさらに不幸なことに、GoogleやApple、Amazonなど、自社の大がかりなビジネスやイノベーションを推進していくために至るところから人材を獲得している企業と競う合う羽目になる。
それに追い打ちをかけるように、企業のIT部門は新興企業の文化とも競い合わなければならない。こういった文化は、人によってはリスクとなるが、心躍るような新たなものを作り上げるという、刺激と機会をもたらしてくれる。
Harvard Business Review(HBR)のAnalytic Servicesは最近、IT分野の人材獲得における競争力を高めるためのガイドラインをまとめたレポートを公開した。その内容は、政府機関や非営利組織、製造分野や教育分野の最高情報責任者(CIO)を対象としたインタビューに基づいている。そしてレポートには、「これらCIOはそれぞれ、人材獲得を困難にしている要因に対する新たなアプローチを見出すために、創造力を駆使する必要があった」と記されている。
レポートでは以下のポイントが挙げられている。
#1:従業員が自身のためだけではなく、より大きな使命のために働いていると自覚できるようにする
このレポートのスポンサーであるRed Hatで最高経営責任者(CEO)を務めるJim Whitehurst氏は、「CIOとのインタビューで浮かび上がってきた共通のテーマは、文化が鍵になるということだ」と述べるとともに、「人材にかかわるこれらの問題に対する解決策を見出すうえではまず、従業員が組織における大きなミッションに携わっていると感じられるような、彼らに力を与えるような文化を醸成するところから始めることになる」と述べている。
#2:ものごとを面白くする
あなたの組織にいる最も優れた技術者は、新興企業を立ち上げる友人たちの誘いに魅力を感じてしまうかもしれない。そのような技術者には、ひと味違った仕事をする機会を与えてほしい。クラウドやマイクロサービス、コンテナなどを用いた何かを、探求しながら構築するという取り組みへの門戸を開くとともに、支援するのがよいだろう。テクノロジを活用し、アナリティクスを主軸に据えた業務の開拓を支援することに努めよう。
#3:ソーシャルメディアを用いて人的ネットワークを広げる
FacebookやTwitter、LinkedInは、人材を見つけ、連絡を取るための手軽な方法だ。
#4:昔ながらの、対面型の人的ネットワークの形成を軽視しない
実際に顔を合わせることで、最も強力なつながりを築けるようになる。
#5:オープンソースコミュニティーに参加する
オープンソースコミュニティーには熱心で、極めて能力の高い技術者が集まっている。
#6:多様性を奨励、促進する
これにより、さまざまなコミュニティーからさまざまなバックグラウンドを持つ人々を迎え入れられるだけでなく、プロフェッショナルとしての多様な観点が得られるようになる。
#7:短期雇用や、従来とは異なる方法での雇用に目を向ける
これには、契約社員の雇用だけではなく、クラウドソーシングやハッカソンを利用したイノベーションの達成や、作業の完遂が含まれる。
#8:コーチングやメンタリング、研修に投資する
テクノロジは年々変化していく。このため、今日のソリューションが明日にはレガシーシステムになっている可能性もある。ITプロフェッショナルにとって、日々の通常作業を遂行しながら、新たなテクノロジを学習していくというのは簡単なことではない。雇用者は、就業時間に職場で学習できる機会を設けたり、研修プログラムの費用を負担したりすることでこれを支援できる。
#9:スキルにこだわるのではなく、成熟した人格と、学び進歩できる能力に目を向ける
テクノロジはどんどん変化していくため、スキルの豊富さよりも、新たなものに適応し、貢献する意欲の方が重要となる。
#10:階層型の組織体系を捨て去る
トップダウン形式の、指揮統制構造に従った組織ではなく、コラボレーションに軸足を置いたチームで構成された組織にする。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。