IDC Japanは9月3日、世界の顧客エクスペリエンス(CX)テクノロジーに対するIT支出額予測を発表した。それによると、2019年の同総支出額は、前年比7.9%増の5080億ドルに達する見通しであることが分かった。また2018年から2022年までの予測期間中、CXに関するIT支出額は8.2%の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)で推移し、2022年には6410億ドルに達すると予測される。
IDCは、顧客エクスペリエンス(CX)について、業種を問わず顧客に優れたエクスペリエンスを提供し、競合他社との差別化を図る目的で、企業が使用するビジネスプロセス、戦略、テクノロジー、サービスを包含する機能的アクティビティとしている。なお同調査では、製品の実際のデザインによる顧客エクスペリエンスやユーザーインターフェースや製品の美観など、製品またはサービス固有の側面は含まれていない。
2019年、CXテクノロジーに対する支出額が最も大きいと予測される業種は小売業(567億ドル)で、この業種で最も多く投資されるユースケースは、デジタルマーケティング、AI(人工知能)主導型エンゲージメント、受注処理であると予測される。また組立製造業および銀行が、それぞれ2番目と3番目に支出額が大きい業種となる見通しで、どちらの業種でも、カスタマーケア/サポートが主要なユースケースになると予測される。予測期間中、支出成長率が最も高い業種は、小売業とヘルスケアで、CAGRはそれぞれ13.1%と11.5%が見込まれている。
2019年および予測期間全体を通じて、支出額が最も大きいと予測されるCXユースケースは、カスタマーケア/サポートで、受注処理および対話管理がこれに続く。5年間の予測期間中、支出成長率が最も大きいと予測されるユースケースは、AI主導型エンゲージメント、対話管理、ユビキタスコマースとなっている。
地域別では、2019年にCX支出額が最も大きい地域市場は米国で、組立製造業と小売業がけん引役になるという。2番目に大きい地域は西欧で、銀行と小売業が最大の業種と予測される。3番目に大きい市場は中国で、ヘルスケアおよび小売業のCX支出額が最も大きいと見込まれている。中国は最も高いCX支出成長率が見込まれる市場でもあり、5年間のCAGRは13.6%と予測されている。