クラウドに関する意見をある種の人々に尋ねれば、企業幹部も含めて誰もがパブリッククラウドに移行したいと考えているという答えが返ってくるだろう。しかし、Red Hatの顧客は異なる見方をしている。同社が世界各地の顧客を対象に実施した調査によると、回答者の31%は「ハイブリッド」クラウドが自社戦略を最も反映しているとしており、21%がプライベートクラウドのアプローチを好むとしている一方、パブリッククラウドが第一の選択肢だとしている回答者は4%にとどまっている。ただ、ちょっとした問題が1つある。それは、従来型のITからクラウドへの移行に踏み切るために、適切なスキルを有した要員を見つけるというものだ。
企業はさまざまな理由からハイブリッドクラウド戦略を好んでいるとはいえ、全体としてみればデータのセキュリティや、コスト面でのメリット、データの統合が上位にくる。ハイブリッドクラウドは、これまで何年にもわたってさほど高い人気を得ていなかった。しかし「Kubernetes」ベースのハイブリッドクラウドモデルが台頭し、Red Hatも新たなモデルのハイブリッドクラウドを推進する有力組織の1つとなった中、今や顧客はハイブリッドクラウドを積極的に受け入れるようになっている。
ただし、すべての顧客がそのような考えに至っているわけではない。単一のパブリッククラウド上で標準化を進めているとしている企業が依然としてある一方で、2つ以上のパブリッククラウドに基づくマルチクラウド戦略を採っているとする企業も極めて少ない(6%)ながら存在している。
EMEA(欧州、中東およびアフリカ地域)では、現在でもプライベートクラウドが最も多く選ばれており、Red Hatのエンタープライズ顧客の3分の1はプライベートクラウド戦略を採用している。
ただ今でも、誰もが今後はクラウドだと考えているわけではもちろんない。現在でも企業の12%はクラウド計画を一切有していないとしている。
未来に向かって前進している企業にとって、大きな問題が1つある。経験豊富で才能にあふれる技術者の数が足りていないのだ。Red Hatの顧客の11%は、自社業務を変革するうえでスキルや才能のギャップに直面していると回答している。一見したところ、それほど深刻ではないように思える。しかし、技術的負債にまつわる課題を挙げている回答者が17%いる一方で、十分な自動化を果たせていないという回答者が11%いる。これらの回答は詰まるところ、ITスタックのシフトで求められる適切なスキルが十分でないという問題の存在を意味している。