北海道江別市はバックアップアプライアンス「Arcserve UDP Appliance」を導入し、フルバックアップに必要なデータ容量を約60%削減した。Arcserve Japanが12月26日に発表した。Arcserve UDP Applianceは、イメージバックアップソフト「Arcserve UDP」がプリインストールされているバックアップ専用のサーバー。保護対象台数が無制限のライセンスとバックアップリカバリー用に最適化されているという。
江別市では2019年に実施したバックアップシステムの更改を機に、データ保護に関するさまざまな潜在リスクを解消し、バックアップ運用の負荷を削減するための取り組みを始めた。同市は、以下のような課題を抱えていたという。
- ファイルベースのバックアップ運用によるバックアップ時間の増大
江別市では日曜日にフルバックアップを取り、平日に増分バックアップを取るスケジュールを組んでいた。だが庁内業務のデジタル化に伴いデータが急速に増大すると、フルバックアップにより多くの時間がかかり、業務システムによっては月曜日の開庁時間にずれこむリスクがあった。 - オプション機能の未導入
アプリケーションのオンラインバックアップや、OS復旧オプション機能は導入していなかった。そのため、万一サーバーでハードウェア障害などが発生すると新しいサーバーを調達し、OSやアプリケーションを構築してからファイルを戻す必要があった。復旧に多くの時間がかかることで、行政サービスに影響を与える可能性があったという。 - 少ないIT人材リソース
ユーザー数1000人以上の同市職員に対し、5人体制でIT利用をサポートしていたので、バックアップ運用を担当する負担が大きくなっていた。 - 災害対策
2018年9月に最大震度7の北海道胆振東部地震が発生し、江別市でも大規模な停電の影響を受けた。無停電電源装置は備えていたものの、限定的な稼働時間のため結果的に行政サービスに支障をきたしてしまった。この経験から、災害対策も視野に入れたシステム保護が重要だと判断したという。
これらの課題を解決するための対策として江別市は、ファイルベースのバックアップによるデータのみの保護ではなく、イメージバックアップによるシステム全体のバックアップを推進することが必要だと判断した。また万が一、ハードウェア障害などのトラブルが発生した場合でも短時間でシステムを復旧でき、極力行政サービスを中断させないことが新しいシステムの必須条件だったという。さらに業務担当課からの要望に対応するため、サーバーリソースとバックアップ機能を併せて提供できる仕組みの必要性も検討。その結果、これらの条件を満たす製品としてArcserve UDP Applianceの採用に至ったとしている。
新システムは2019年7月に本稼働を開始し、現在は業務システムの更改に合わせてVMware ESXiからNutanix AHV(Acropolis Hypervisor)へのハイパーバイザーの移行が進んでいる。Arcserve UDP Applianceは両方の仮想環境に対応しているためバックアップ運用が一本化された他、初回の設定以降はほぼ自動的にバックアップされるので、運用負荷も大幅に軽減されたという。そしてArcserve UDP Applianceの重複排除機能により、フルバックアップに必要なデータ容量が約60%削減され、翌日の業務への影響もなく運用が可能となったとしている。