2020年にはエッジコンピューティングに関する取り組みが進展すると見られているが、さらに興味深いのは、エッジコンピューティングを実現するための不動産の再活用に関する動向だ。
結局のところ、エッジコンピューティングと5G(第5世代移動体通信システム)は、さまざまな接続点を持つ、従来よりも分散度が高いネットワークを必要とする。これらの接続点は、既存の建築物に収容されることになる可能性が高い。
Amazon Web Services(AWS)とVerizonは、5G、クラウド、エッジコンピューティングの利用に関して提携する計画を明らかにしたが、これはエッジコンピューティングが不動産の問題と結びついていることを示す事例の1つになった。VerizonとAWSのパートナーシップは、Verizonの施設をAmazonのクラウドに接続することを中心としたものだ。
Verizonは接続点と施設を持っている。Amazonにはクラウドがある。モノのインターネット(IoT)やアナリティクス、自動運転車などを利用するアプリケーションには、低遅延の環境が必要になる。これを実現するために、データセンターの次に来るのは何だろうか。考えられるのは、現在は技術とは無縁の多くの場所に、現場に近い拠点としてマイクロデータセンターが置かれるというシナリオだ。
このような流れを考えれば、Wall Street Journalが報じた、Walmartが店舗スペースを利用して、エッジコンピューティングの機能を提供する方法を模索しているというニュースにも違和感は感じられない。小売業者は、エッジコンピューティングの実現に利用できる施設を持っている。
結局のところ、エッジコンピューティングには多くの不動産が必要になる。
2019年に行われた、Dell EMCの最高技術責任者(CTO)John Roese氏に対するインタビューでは、不動産の観点から見たエッジコンピューティングが大きなトピックになった。そのインタビューでは、エッジコンピューティングや、この技術になぜ分散度が高いネットワークが必要になるかが話題になり、不動産についても多くことが語られた。その中でも一番深い議論になったのが、不動産の可能性についてだ。
「自動運転車などの応用事例では低遅延が必要とされるため、コンピューティングをナノデータセンターにオフロードする必要がある」とRoese氏は言う。「エッジには、より大きなキャパシティーと計算能力が置かれるようになるだろう」