定型業務を自動化するRPA(Robotic Process Automation)のポテンシャルはどれほどのものなのか。RPAソフトウェアベンダーとして成長著しい米UiPath日本法人の新幹部に聞いてみた。
業務効率化のラストワンマイルをカバーするRPA
RPAが大人気だ。連日メディアでもRPAによって事務作業を効率化し、生産性を上げた事例が続々と紹介されている。ただ、見方を変えると、RPAは事務作業の無駄を「手順の自動化」で取り除いただけともいえる。もちろん、それで生産性アップにつながるRPAは企業にとって有効なツールだが、もっと大きなポテンシャルがあるとしたら、いったい何なのか。
こんな疑問をかねて抱いていた筆者は、機会があればRPA分野のキーパーソンに聞いてみたいと思っていたところ、2019年12月1日付でUiPath日本法人の最高売上責任者(CRO:Chief Revenue Officer)に就任した鈴木正敏氏に取材する機会を得た。まだ同職に就いて間もないが、鈴木氏は着任にあたってのプレス発表で、RPAについて次のように語っている(写真1)。
米UiPath日本法人 最高売上責任者(CRO)の鈴木正敏氏
「RPAは業務効率化のラストワンマイルをカバーするとともに、従業員が事務作業の高負荷から解放され、創造性の高い仕事にさらに高いモチベーションを持って取り組むことを可能にし、これにより企業競争力の向上と従業員の働き方・働きがいの改革に多大な貢献をすると確信している」
筆者が特に注目したのは、「業務効率化のラストワンマイルをカバーする」との表現だ。これは裏を返せば、これまでカバーできていなかったと受け取れる。例えば、ERP(統合基幹業務システム)は企業における業務の全体最適化を図るツールだが、個々の現場の業務プロセスにきめ細かく対応するものではなかった。RPAはその「ラストワンマイル」の効率化に手を入れた格好だ。
ERPとRPAを比較してこう説明する鈴木氏に説得力があるのは、これまで日本オラクルやSAPジャパンの幹部としてでエンタープライズソフトウェア事業に携わってきたキャリアがあるからだ。筆者もかねて取材でさまざまな話をうかがってきたが、今回は、UiPath日本法人のCROとしてやりたいこと、そして冒頭で述べたRPAのポテンシャルについて聞いてみた。