ServiceNowは、最高情報責任者(CIO)の戦略パートナーから、デジタルトランスフォーメーションを後押しする、企業の最高経営責任者(CEO)をターゲットとした企業への転換を図っている最中だ。また同社のCEOであるBill McDermott氏は、古巣のSAPで培ったやり方を素早くServiceNowにも展開し、同社を成長に導こうとしている。
同社はITサービスプラットフォームとしてスタートしたが、今では人事の分野やカスタマーサービスの分野にも進出している。また、同社のサードパーティー開発者のエコシステムも、ユースケースの拡大を進めてきた。McDermott氏は、業界ごとのユースケースとシステムインテグレーターの取り込みにより、特定業界向けサービスを展開しようとしている。
ServiceNowの第4四半期の業績発表カンファレンスコールで、McDermott氏の発言は熱意にあふれていた。セールスの達人である同氏は大きな構想を持っており、年間売上高を大幅に伸ばすことができると考えている。実際、そのためのベースは整っていると言っていい。
ServiceNowの2019会計年度第4四半期の売上高は、前年比33%増の9億5180万ドルだった。一時的な税制上の優遇措置の影響もあり、純利益は5億9870万ドルに上っている。非GAAPベースの利益は1億8690万ドル(1株当たり96セント)だった。また2019会計年度の売上高は34億6000万ドル、純利益は6億2670万ドルとなった。
ServiceNowは同四半期に、主にITサービス管理を中心として、年間発注額が100万ドルを超える契約を76件獲得したという。2020会計年度のサブスクリプションの売上高は、42億2000万~42億4000万ドルを見込んでいる。これは2019年度比で30%増の数字だ。
計画
McDermott氏は、アナリストとのカンファレンスコールで、ServiceNowの成長戦略の概要を語った。
デジタル変革はIT部門から始まるものであり、わが社は世界中のCIOにとって強力な戦略パートナーだ。CIOは断片化したレガシー技術を相手に苦戦しており、従業員や顧客が本当に必要としている体験を提供できずにいる。わが社のITワークフローは、計画から運用、サービス管理までを1つのプラットフォームで提供するものだ。わが社はITをモダナイズし、最新の体験を提供できる、パフォーマンスの高いサービスを提供することを可能にしている。それによって、ITの仕組みの中核部分を強化することが可能になったが、そのことは同時に、ITがカバーする範囲を広げている。わが社はこれを会社全体で進めており、それが幅広い製品ポートフォリオを勢いづけている。中でも、人事関連の製品やカスタマーサービス管理関連の製品は急成長を遂げている。顧客は、人事やカスタマーサービス管理、セキュリティ、GRC(ガバナンスリスクおよびコンプラインス)、決算処理、DevOpsなどから、会社全体により大きな価値を提供することまで、あらゆるものをServiceNowのITワークフローと組み合わせることによって得られる戦略的な価値を認識しつつある。