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完成品メーカーのニーズを先取り--ダイキン工業化学事業部のDXのユニークさ

河部恭紀 (編集部)

2020-02-10 07:45

 ダイキン工業は一般には空調機メーカーとして知られるが、フッ素化合物を提供する化学事業も展開している。同社の化学事業部でマーケティング部担当課長を務める寺田純平氏が、2月4日に日本オラクルが開いたイベント「Modern Business & Customer Experience」に登壇。グローバルにおける顧客とのつながりや関係強化を目指したデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みについて講演した。

 講演の冒頭、寺田氏は、DXを進めるといった場合にありがちなのが「営業はロボティックプロセスオートメーション(RPA)、マーケティングはマーケティングオートメーション(MA)、製造では統合基幹業務システム(ERP)ということで、部分最適になること」だと述べた。

 そのため、ダイキン工業では、DXのための技術を社内で培うことを目的に「ダイキン情報技術大学」を2017年12月に設立。「AI(人工知能)活用」「AI技術開発」「システム開発」の3分野において人材を社内育成している。たとえば、システム開発の場合、「ベンダーやインテグレーターと議論でき、自分たちでシステムを触れるようになる」(寺田氏)ことが目的だという。

 同大学では、2018年度の新入社員から各年100人の社員が2年間にわたってITを学ぶ。1年目は主に座学だが、2年目は各部門で実践する。各部門における反応はというと、デジタル活用に反発する声も当初はあるが、「2年目の人が入ってきてデジタル活用をやり、結果がでてくると、皆変わってくる」と寺田氏は述べる。

寺田純平氏
寺田純平氏

 既存社員も各年数十人が参加し、座学、演習、実践をする。2021年度終了までにトータル1000人が講義を受講する予定であり、それによりITを活用する会社になることを目指しているという。

 その成果の一例としては、空調機内部の汚れをIoT活用で遠隔監視するサービスがある。空調機内にあるドレンパンと呼ばれる水を受ける皿状の盤をカメラで撮影し、独自アルゴリズムで画像解析することで汚れ具合を判定する。そして、必要に応じてアラートを出し、清掃作業を促す仕組みとなっている。これにより、点検作業を削減できるため、利用者の負担を軽減することが可能となると寺田氏は説明する。

原材料メーカーでも完成品メーカーのニーズを先取り

 このような全社的な取り組みに加え、化学事業部では独自に抱える課題の解決に向けてデジタルマーケティングを活用している。

 同事業部は、フッ素化学メーカーとしてはグローバル第2位だが、事業の拡大においては、新規顧客や新規ニーズの獲得が鍵となるという。

 たとえば自動車の場合、フッ素化合物を使った同事業部製品は、ガスケットといったシール材のメーカー、それを使った部品メーカー、組み立てメーカーといった非常に長いサプライチェーンを経てエンドユーザーである自動車メーカーへと渡る。さらに、そのサプライチェーンはグローバルに展開されている。

 そのため、エンドユーザーから同事業部の存在は認識されづらく、“認知度やブランド価値の低さ”という課題が生じる。また、これまでは、直接の顧客が要求することだけに応じていれば良いという考えだったが、原料メーカーであってもエンドユーザーの“ニーズを先取りする”ことが研究開発で重要であり課題だという認識になっている。さら顧客もグローバルにわたっているので、同事業部における“グローバル拠点間の情報連携”も課題だと感じているという。

サプライチェーン

 デジタルマーケティングの活用について上層部は、「営業は足で稼ぐもの」と否定的な考えを示していたと寺田氏は振り返る。そのような状況が変わったのは、顧客の行動が変化してきているという背景があったという。

 これまでは、展示会を通じて顧客が製品を知ることが多かった。だが、最近では、たとえば「熱に強い製品」を顧客が必要としている場合、BtoC同様にBtoBでもネットで検索して製品を自ら見つけるという行動を取るようになっているという。検索結果に自社が表示されなければ顧客をウェブサイトまで誘導できないため、ニーズの把握ができなくなってしまう。このようなことから、上層部も理解を示したという。

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