全世界で50万人超の社員を擁するAccenture史上初の女性CEO(最高経営責任者)とはどんな人物か。2019年9月に同職に就任したJulie Sweet氏の来日会見から探ってみたい。
これまでの人生で大きな影響を受けた3つの話とは
アクセンチュアが先頃、Sweet氏の来日を機に記者会見を開いた。現在、51カ国・200都市以上に拠点を構え、50万5000人の社員を擁し、年商430億ドルの巨大コンサルティング会社の頂点に立つSweet氏は、会見でどんなことを話したのか。(写真1)
記者会見に臨む米アクセンチュアCEOのJulie Sweet氏
同社のビジネス戦略を中心とした会見内容については関連記事をご覧いただくとして、本稿では、同氏がこれまでの人生で大きな影響を受けた話やそれに対する考え方、そしてリーダー論を取り上げながら、人物像に迫ってみたい。
Sweet氏は1968年生まれ。2010年にアクセンチュアに入社し、2015年から同社最大の市場である北米地域のCEOを務めた。2019年9月の全社CEOへの就任と同時に取締役にも就いた。
同社に入社する前は、10年間、米国で最も著名な法律事務所の1つに挙げられるCravath, Swaine & Moore LLPのパートナーを務めた。クレアモント・マッケナ大学で学士号、コロンビア大学ロースクールで法務博士号を取得。つまり、法務のエキスパートで、Accentureでは初めての女性かつコンサルタントのバックグラウンドを持たないCEOでもある。
そんなSweet氏がこれまでの人生で大きな影響を受けた話として挙げたのは、次の3つだ。
1つ目は、母親から教えられた「学ぶことの大切さ」。「私は決して裕福な家庭で育ったわけでなく、両親とも大卒ではなかった。だが、二人とも勤勉で一生懸命に働き、学び続ける姿を私たち子供3人に見せてくれた。特に、母は私たちが大きくなってから大学に通い始め、私が大学生のときに一足早く卒業した。そんな学ぶことへの情熱を教えられた」と同氏はいう。
2つ目は、大学に入学する際、父親から受けたアドバイスだ。「これからさまざまな新しい経験をするだろうが、しっかりと受け止めなさい。でも自分が大切だと思う軸はぶれないように」。同氏はこのアドバイスを、「大学に行かなかった父にとっては、娘がこれから未知の経験をすると感じたのだろう。でも軸はぶれないようにと。これはまさしく経営にも通じることで、今も私の心のより所となっている」と受け止めている。
3つ目は、夫が教えてくれた「自分の夢」の話。「自分の夢に自分が恐ろしさを感じるくらいでないと、十分に大きな夢ではない」というものだ。「私は今、夫と13歳と11歳の娘ふたりの家族で暮らしているが、夫がこういうメッセージ調の文言を好み、家の壁のあちこちに貼り付けている。その1つがこれで、私も気に入っており、若い人たちへのチャレンジの話にも引用している。要は『夢は大きく持て』ということだ」と説明した。