海外コメンタリー

働き方とリモートワーク、CIOが今あらためて見直すべきこと

Mark Samuels (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2020-03-25 06:30

 企業のIT担当役員は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への感染リスクを受けて、活動の場を空港ラウンジやカンファレンスホールから、自宅のデスクやビデオ会議に切り替えつつある。

 世界中の企業が、在宅勤務奨励や、出張計画の中止などの合理的な判断を下しており、IT業界の主要なITカンファレンスも、その多くがオンラインでの開催に切り替えられるか、延期されている。また、IT業界で働く多くの人にとって常識だった、会議やあいさつのために世界中を飛び回るというワークスタイルは鳴りを潜めた。

 パンデミックはまだ始まったばかりであり、この状況がどれだけ続くかを予想するのは難しい。欧州疾病予防管理センターは、ウェブサイトのQ&Aで、「アウトブレイクがいつまで続き、エピデミックがどのように広がるかを予想することは不可能だ」とシンプルに述べている。

 人的損失はすでに巨大なものになっており、世界中で多数の感染者と死者が出ている。感染していない人もまた、日常生活の混乱という観点から大きな影響を受ける可能性がある。

 Gartnerによれば、COVID-19は、企業のオペレーションの継続性に対してサイバー攻撃や自然災害に匹敵する悪影響を及ぼす可能性があるという。一方でForrester Researchは、テクノロジーが事業運営において中心的な役割を果たしていることから、ITリーダーが負っている役割は大きいと指摘している。

 ForresterのアナリストAndrew Hewitt氏は、「最高情報責任者(CIO)は、コロナウイルスが流行している間、所属企業が在宅勤務を増やせるように備える必要がある」と述べている。「CIOはまず、リモートワークに必要な技術スタックを再検討し、自宅で働く従業員が増えた場合に備えて、需要の増加に対応できるキャパシティを確保しなければならない」

 一部の企業では、在宅勤務のためのアクションプランを定めることはそう簡単ではない。GartnerのシニアリサーチディレクターであるSandy Shen氏は、コロナウイルスは、デジタルビジネスや長期的なレジリエンスに対する投資を避けて、日常業務のニーズを優先することを選んだ企業に目覚めを促す「警鐘」だと述べている。

 これに当てはまる企業は、クラウドに頼らざるを得ない。Forrester ResearchのHewitt氏は、ITリーダーがリモートワーカーのニーズに素早く応えるためには、次の3つに注意する必要があると述べている。

  • コラボレーション:「従業員がビデオ会議を利用できる状態にし、使い方を理解させ、事前にシステムをインストールさせておく必要がある」
  • 情報に対するアクセス:「従業員が自宅から作業を行っても生産性を維持できるように、主要な作業ファイルやドキュメントにアクセスできるようにしておく必要がある。この期間中は、『Dropbox』『Box』『OneDrive』などのファイルの同期や共有を行うためのツールを利用することが不可欠になる」
  • セキュリティ:「従業員に、離れた場所で作業をしても会社のデータを守れるように、適切な予防措置を取らせる必要がある。これには、在宅勤務を始める前に、従業員に事前にパスコードを変更させることや、VPNが過負荷になるのを回避するために、ファイルをクラウドベースのシステムに転送させておくことが含まれる」

 ただし、技術面での準備は、在宅勤務に伴う問題の一部にすぎない。一部の企業でコラボレーションのためのテクノロジーの活用が遅れているように、デジタル時代の到来によって可能になった、柔軟な働き方の導入が遅れている企業も多い。

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