新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックや、共同最高経営責任者(CEO)Jennifer Morgan氏の退任などの動きがある中、SAPは第1四半期にわずかな増益を達成した。
2020年第1四半期決算(3月31日締め)は、国際財務報告基準(IFRS)に基づく売上高が前年同期比7%増の65億2100万ユーロ(非IFRSベースでは65億2200万ユーロ)だった。1株あたり利益は0.68ユーロ(非IFRSベースでは0.85ユーロ)で、IFRSベースの1株あたり損失が0.10ユーロだった前年同期から改善した。
IFRSベースの営業利益は12億1000万ユーロ、非IFRSベースでは1%増、非IFRSベースの固定通貨換算ベースでは横ばいとなった。
第1四半期の営業キャッシュフローは29億8000万ユーロで、前年同期から6%増加した。
SAPの主要なクラウドとソフトウェアライセンス事業は、新型コロナウイルスの影響を受けている。新型コロナウイルスは世界中でビジネスを停滞させ、新しいテクノロジーの導入から企業システムの刷新まで、あらゆることを延期せざるをえなくなっている。
SAPでは、2020年第1四半期に多くのクラウドおよびソフトウェアライセンス契約が先延ばしにされた。同社によると、現在のクラウドのバックログは25%増加し、66億5000万ユーロに達しているという。
クラウドの売上高はIFRSベースで前年同期比29%増の20億1000万ユーロ、非IFRSベースでは27%増、非IFRSの固定通貨換算ベースでは25%増となった。ソフトウェアライセンス売上高は、IFRSベースと非IFRSベースで前年同期比31%減の4億5100万ユーロとなった。
クラウドとソフトウェアの売上高は、IFRSベースで前年同期比7%増の54億ユーロだった。非IFRSベースでは6%増となった。
Applications, Technology & Servicesは、名称がApplications, Technology & Supportとなり、売上高は前年同期比5%増の49億9000万ユーロだった。固定通貨換算ベースでは3%増となった。
「SAP S/4HANA」の導入顧客は2020年第1四半期に約300社増加した。SAP S/4HANAの現在の顧客数は1万4100社以上で、前年同期から23%増加している。
「Qualtrics」の売上高は前年同期比82%増の1億6100万ユーロだった。出張、経費精算、請求書管理ソリューションを含む「Concur」の売上高は前年同期比14%増の4億2800万ユーロだった。
デジタルトランスフォーメーションなどを含むServicesセグメントの売上高は、前年同期比5%増の8億5100万ユーロだった。
また、共同最高経営責任者(CEO)Jennifer Morgan氏の退任に伴い、4月30日付けでChristian Klein氏が単独のCEOに就任する。
2020年の事業の見通しは新型コロナウイルスの影響で訂正されている。SAPはクラウドの売上高を、非IFRSベースで87億~90億ユーロではなく83億~87億ユーロと予想している。また、クラウドとソフトウェアの売上高は固定通貨換算ベースで234億~240億ユーロになる見通しとしている。1月には247億~251億ユーロと予想していた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。