Ubuntu Linuxを生んだ企業Canonicalの創業者であり、同社の最高経営責任者(CEO)を務めるMark Shuttleworth氏によれば、今のCanonicalはこれまで以上に好調だ。実際、現在のCanonicalは「自立」しているという。Shuttleworth氏は、「Ubuntuと、Ubuntuを支えるシステムやインフラは、私に依存していた状態を脱した」と語った。「私が明日、神の御前に召されることになったとしても、UbuntuはCanonicalのチームとUbuntuコミュニティの力で存続していくだろう」
CanonicalはShuttleworth氏が100%所有している非上場企業であるため、詳しい財務状況は分からない。しかし、英国に本社を置き、同国の企業登記局に登記されている同社は、年次報告書を提出する義務を負っている。
これらの報告書は、米国の証券取引委員会に提出されているものに比べると、最新の状況を反映したものではない。例えば、同社の最新の年次報告書は、2019年10月15日に提出されたもので、2018年12月31日を末日とする2018会計年度の状況しかカバーしていない。
Canonicalの売上高はRed Hatよりもはるかに小さいが(Red HatがIBMに買収される直前の四半期には、売上高が10億ドル近かった)、同社の業績は黒字だった。同社は2019会計年度の最初の9カ月間に、総売上高8343万ドル、利益1085万ドルの業績を上げている。詳しく見ていくと、Canonicalは2018年から黒字だったことが分かる。
Red Hatの売上高に比べれば、同社の業績はそれほどでもないようにも思えるが、Shuttleworth氏によれば、それは「Ubuntuが『Red Hat Enterprise Linux(RHEL)』よりもはるかに安価なためだ」という。もう1つの理由は、多くの企業Linuxユーザーが、サポート契約を結ばずにサーバーを運用していることだ。例えば、Cloud Marketの利用OSに関する最新の分析によれば、Ubuntuは「Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)」で利用されているLinuxの中で首位を独走しているが、これらのインスタンスの多くは「Ubuntu Advantage」のサポート契約なしで利用されている。
しかし状況は変わるかもしれない。Canonicalは、「Ubuntu 20.04」以降、Ubuntu本体と3万の関連オープンソースプログラムに10年間のサポートを提供している。これは、Linuxに依存している企業にとっては非常に魅力的な条件だ。Shuttleworth氏は、「わが社の強みはクラウドにある。パブリッククラウドでは大きな需要がある」と述べている。