IBMは間もなく、340億ドル(約3兆8000億円)でRed Hatの買収を完了する。 しかし、Red Hatは約束されている栄光の座に満足する気はなさそうだ。同社が発表した2020会計年度第1四半期決算(5月31日締め)によると、売上高は9億3400万ドルで、前年同期比15%増(恒常通貨ベースで18%増)となった。Red Hatはなかなかの好業績を達成している。
アナリストらは米国時間6月20日の株式取引終了時に、Red Hatの売上高が9億3160万ドル、純利益が1億6240万ドル、1株あたり利益は87セントになると予測していた。実際には、GAAPベースの純利益が1億4100万ドル、希薄化後1株あたり利益が0.76ドルとなった。非GAAPベースの場合、純利益は1億8600万ドル、希薄化後1株あたり利益は1ドルだ。
詳細をみると、同四半期のサブスクリプションの売上高は、前年同期比15%増の8億1500万ドルで、総売上高の87%を占めた。サービスの売上高は、17%増の1億1900万ドルだった。
Red Hatは買収を控えているが、一貫して成長を続けている。IBMの最高経営責任者(CEO)Ginni Rometty氏は何度も、「Red Hatは買収後も独立性を維持する」と述べている。
Red HatのCEOのJim Whitehurst氏は、「顧客がRed Hatの技術に強い関心を持っていることは、当社恒例のユーザーイベントのRed Hat Summitに今年、過去最高の9000人近い参加者が集まったことからも明らかだ。イベントで『Red Hat Enterprise Linux 8』の一般提供と『OpenShift 4』について発表した。顧客に対してビジネス価値を生み出すようなイノベーションを提供するという当社の実績が生かされたサービスだ。イベントでは、ユーザーの期待が手に取るように分かった。また、OpenShiftの新規顧客を90社以上獲得するなど、四半期の業績にも顕著に表れている」と述べた。
特にOpenShiftは、Red Hatの将来を握る重要なカギだ。「Kubernetes」のクラウドプラットフォームであるOpenShiftは、同社のハイブリッドクラウドに関する計画を示すものとなっている。Red Hatにとって、Linuxが重要な存在であるのは間違いないが、IBMとRed Hatが将来の収入源と目しているのはクラウドだ。
Red Hatは安定した収入源としてLinuxに依拠しているものの、Red Hatの最高財務責任者(CFO)Eric Shander氏は、「当社の大口契約は依然として勢いを保っており、前年同期と比べて500万ドル以上の取引が倍増し、100万ドル以上の取引が15%増加した。これらの取引の多くは、新興技術に関連しており、500万ドルを超えるOpenStack契約や、当社にとって過去最大となる1500万ドル以上のストレージおよびハイパーコンバージドインフラ契約などが含まれる」と語った。
Red Hatの見通しは、IBMによる買収も含め、極めて明るいと言えそうだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。