本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、NTTデータ取締役常務執行役員技術革新統括本部長の木谷強氏と、Tableau Softwareカントリーマネージャーの佐藤豊氏の発言を紹介する。
「“サービスデザイン”が企業の成長を促進する」
(NTTデータ取締役常務執行役員技術革新統括本部長の木谷強氏)
NTTデータ取締役常務執行役員技術革新統括本部長の木谷強氏(NTTデータより提供)
NTTデータは先頃、新たなビジネスやサービスを創出する手法である「サービスデザイン」における最新の取り組みについてオンライン形式で記者説明会を開いた。木谷氏の冒頭の発言はその会見で、サービスデザインの活用が企業の成長に結びついていることを強調したものである。
サービスデザインという言葉は、日本ではまだ馴染みがないが、欧州の企業では新たなビジネスやサービスを創出する手法として注目されている。木谷氏によると、デザインマネジメント国際団体のDesign Management Institute(DMI)の研究発表において、「サービスデザインを重視する企業は、そうでない企業と比べて10年間の業績が2倍以上、成長している」と報告されている。
NTTデータグループでは、このサービスデザインを実践する場として世界16カ所でデザインスタジオを運営し、それらをつなぐ「NTT DATA Design Network」を構成しながら、各国における人材やノウハウの共有、先進事例の活用やプロジェクト連携を進めてきた。
そしてこのほど、サービスデザインにおける各種デザイナーの育成・獲得、デザイナーによる顧客企業や社会への提供価値の最大化を目的として、NTT DATA Design Networkに所属するデザイナー集団の新ブランド「Tangity」(タンジティ)を立ち上げた。
Tangityについての同社の新たな取り組みについては発表資料をご覧いただくとして、ここではサービスデザインの中身について、木谷氏の説明を基に紹介しておこう。
サービスデザインは図に示すように、新しいビジネスやサービスの「戦略」を立てて「コンセプト」を策定し、「開発」して「サービス」を提供するというプロセスからなる。そのそれぞれの具体的なアクションとしては、戦略で「ビジネスデザイン」、コンセプト策定では狭義の「サービスデザイン」や「ユーザーエクスペリエンス(UX)/ユーザーインターフェイス(UI)デザイン」、開発では「プロトタイプ構築」と実際の「開発」が挙げられる。
NTTデータが取り組む「サービスデザイン」の概要(出典:NTTデータの資料)
そして、図の下段にあるように、「プロジェクトマネージャー」「ビジネスデザイナー」「サービスデザイナー」「UX/UIデザイナー」「フロントエンドディベロッパー」といった人材が、それぞれの領域で才腕を振るう形となる。同社ではこれらの人材を、世界で合わせて現在550人から2020年度中には700人まで引き上げる構えだ。
こうしたサービスデザインへの取り組みも同社ならではのアドバンテージとなっているようだ。