ARK Invest Managementは「破壊的イノベーション」を、技術によって可能になった、世の中の動きを変革する可能性のある新たな製品やサービスの到来と定義している。ARKは公開株式市場における破壊的イノベーションを見出すための投資ソリューションの提供に注力している企業だ。
ARKが年次リサーチレポート「Big Idea」(偉大なアイデア)を公開し始めたのは2017年のことだ。このレポートは、イノベーションにおける最新の進行状況に光を当てるとともに、その年で最も刺激的なリサーチ結果のいくつかを挙げることを目的としている。なお、こういった破壊的イノベーションに投資する際には、変化の速さや、業界/市場を取り巻く環境の変化、不確かさや未知数とともに、規制によって生み出される課題、政治/法律面でのプレッシャー、競争環境といったリスクを考慮する必要があるとARKは記している。
その2021年版レポートである「Big Idea 2021」では以下のような話題に焦点を当てている。
- ディープラーニング(DL)
- データセンターの再発明
- 仮想世界
- デジタルウォレット
- ビットコインのファンダメンタルズ(大々的な普及を支える背景)
- 法人決済におけるビットコインの普及
- 電気自動車(EV)
- 自動化
- 自動運転車による配車サービス
- ドローンによる配達
- 宇宙産業
- 3Dプリント
- 第3世代のDNAシークエンシング技術
- 複数のがんに対するスクリーニング
- 第2世代の細胞治療/遺伝子治療
今回のレポートは、台頭しつつある、あるいはまったく新たな技術とともに、イノベーションの機会を網羅した極めて包括的なものとなっている。本記事では2021年、そしてそれ以降で最も喫緊かつ影響力の大きな破壊的イノベーションだと筆者が考えている偉大なアイデアのいくつかについて解説する。
ディープラーニング(DL)
ARKによると、ディープラーニング(DL)はソフトウェアのブレークスルーとして現代で最も重要なものになり得るという。同社のレポートには、DLが今後の15~20年で世界株式市場の時価総額を30兆ドル(約3200兆円)押し上げるだろうと記されている。以下は、DLによって実現される次世代のコンピューティングプラットフォームの例だ。
- 会話可能なコンピューター:人工知能(AI)を搭載したスマートスピーカーは、2020年には1000億もの音声コマンドに対応した。これは2019年と比べると75%の増加となっている。
- 自動運転車:Waymoの自動運転車は、サンフランシスコやデトロイト、フェニックスを含む25の都市で、2000万マイル(約3200万km)を超える実績を残している。
- コンシューマー向けアプリ:TikTokは動画の「おすすめ」フィードにDLを活用しており、デイリーアクティブユーザー数(DAU)で見た場合、SnapchatとPinterestの合計よりも上回っている。