海外コメンタリー

コロナの影響で自動化プロジェクトへの意欲高まる

Daphne Leprince-Ringuet (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2020-06-10 06:30

 企業は、社会的距離を確保するルールに厳しく縛られたまま、ゆっくりと経済活動を再開しようとしている。そんな中、多くの組織が自動化プロジェクトを推進しようとしていることが分かった。IoT企業のPod Groupが実施した調査によれば、英国のビジネスリーダーの4分の3近くが、今回のパンデミックによって、職場に新たな自動化の波が訪れると予想しているという。

 多くの組織は、新型コロナウイルスの危機に直面する前から、業務の一部自動化を検討していた。しかしいくつかの分野(特に一般消費者に直接接する業界)では、感染が拡大したことで、ソフトウェアのボットや実際のロボットを含めて、自動化を検討する企業の割合が増えている。例えば芸術や文化の分野では、新型コロナウイルスの感染拡大前に自動化について検討していたリーダーはわずか4分の1だったが、現在では4分の3まで増えている。

 教育、医療、小売などの業界でも同様の現象が起こっている。これは、今後数年間で、従来の労働力のかなりの部分を自動化技術で代替できるようになる可能性があるという期待の表れだ。

Pod Group 提供:Pod Group

 Pod GroupのグローバルチェアマンCharles Towers-Clark氏は、米ZDNetの取材に対して、「変化の理由は文化的なものであり、変化の訪れを受け入れる最高経営責任者(CEO)の意欲を反映したものだ。組織の経営者は、デジタルトランスフォーメーションを短期間で加速しなければならなかった。そしてこれは、企業にとって、この事態がなければやらなかったことを今後も継続するチャンスだ」と述べている。

 デジタル化を迅速に進めようとする意欲が高まっているのに加え、企業にとって自動化は、近距離での物理的な接触を減らし、職場での対人距離を確保するという文脈でも魅力的な技術となるだろう。

 例えば大手小売企業のWalmartは、すでに米国で店舗の床掃除を行うロボットを導入しており、物理的に通勤できる従業員の数が限られているのを補っている。ロボットのOSを作っている企業Brain Corpは、2020年3月に米国の小売の現場でBrainOSを搭載するロボットの1日あたりの使用量が、前年同月比で平均13.6%増加したと述べている。

 また英国では、Starship Technologiesが、ミルトンキーンズの町の中心部でロボットによる配送サービスをスタートさせた。同社はそれまで、ミルトンキーンズの郊外でしかロボットを利用していなかった。ミルトンキーンズの20万人の住民は、同社のアプリでスーパーマーケットに品物を注文すると、タイヤが付いたオーブンサイズのロボットで家の前まで配送してもらえるサービスを利用できる。

 調査会社Forresterが最近発表した調査レポートでも、新型コロナウイルスの影響で、企業が自動化への投資を増やす見込みであることが明らかになっている。製造業や医療業界などの分野では、仕事の一部がロボットシステムに置き換えられる可能性がある。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  4. セキュリティ

    マンガで分かる「クラウド型WAF」の特徴と仕組み、有効活用するポイントも解説

  5. セキュリティ

    VPNの欠点を理解し、ハイブリッドインフラを支えるゼロトラストの有効性を確認する

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]