Google Cloudは米国時間5月27日、金融サービス向けの新たなプラットフォーム「Datashare」を発表した。資本市場のエコシステム全体を想定したソリューションだ。
Googleの声明によると、Datashareは市場データのパブリッシャーや、データのコンシューマーによる使用を見据えて開発されており、サードパーティーのデータを収集し、アクセスしやすいかたちに整える。これによりコンシューマーは、「BigQuery」をはじめとするツールを用いてデータにアクセスできるようになり、データのパブリッシャーは「ライセンス化されたデータセットをGoogle Cloudにセキュアかつ迅速、簡単にオンボーディング」できるようになる。
Datashareは、データアグリゲーターのほか、投資銀行、アセットマネージャーやヘッジファンド向けとして生み出されたプラットフォームであり、よりセキュアな方法で市場データを共有するという考えを中核に据えて構築されている。また、このプラットフォームはGoogle Cloudのアナリティクスサービスや「Analytics Hub」を活用する。
Google Cloudでグローバル金融サービス業界向けテクニカルソリューションのリーダーを務めるChristin Brown氏は声明で、グローバルデータを取り巻く状況は進化を続けており、市場データのパブリッシャーは「市場データを容易かつ柔軟に、そしてコスト効率に優れた方法で活用したいと考えている」顧客の要求に応え続けていく上で、クラウドベースのモデルを検討する必要に迫られていると説明している。
Brown氏は、「コンシューマーや企業、投資銀行のほか、アセットマネージャーやヘッジファンドを含むこのエコシステムの利害関係者から、データのパブリッシャーに対してクラウド経由でデータを提供するよう求める声がますます高まっている。Datashareは市場データをパブリッシャーとコンシューマーの双方に対してアクセス可能にするとともに活用できるようにすることで、この問題を解決する」と述べている。
Google Cloudによると、Datashareにはバッチによるデータ配信機能がある。パブリッシャーはこの機能を用いることで、参照データや、過去のティックデータ、オルタナティブマーケットデータソースなどをBigQuery経由で提供できるようになるという。またパブリッシャーはライセンス化されたデータセットをGoogle Cloudにオンボーディングし、「Google Cloud Marketplace」を通じてそのデータセットを利用可能にすることができるようになる。
さらにDatashareでは、金融商品の価格やティックデータ、注文、ニュースなどの変化し続けるデータをPub/Subモデルを介してリアルタイムでストリーミングすることもできる。
Googleは、OneTickやAccernなどのプロジェクトでさまざまなデータパブリッシャーと協働している。
OneTickのシニアバイスプレジデントRoss Dubin氏は、このツールによって企業は「取引業務を遂行する上で欠かせない重要な時系列データを配布したり、洗練されたアナリティクスを実行したり、コンプライアンス要件を満足させる」といったことが可能になると説明している。
RefinitivのプロポジションディレクターであるCatalina Vazquez氏は、同社とGoogle Cloudとの取り組みの成果によって、金融機関は「Google Cloudの機械学習(ML)ツールと、BigQuery上に配備されているRefinitivの『Tick History』データを組み合わせ」、必要な情報を迅速に入手できるようになると述べている。
またVazquez氏は、「このモデルは金融コミュニティーのパラダイムを変革することで、データの管理にかかる時間とコストの削減に寄与するとともに、競争上の優位性による業務パフォーマンスの革新と推進に時間をかけられるようにする」とコメントしている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。