Oracleは米国時間6月22日、同社のオンプレミス顧客に「Oracle Cloud」への移行を促すための新たなリワード(報奨)プログラム「Oracle Support Rewards」を立ち上げたと発表した。Oracleのライセンスサポートを契約している顧客はこのプログラムにより、「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)の「Universal Credit」(ユニバーサルクレジット)を購入、消費すると1ドル(約110円)あたり少なくとも25セント(約28円)の割引を受けられるようになる。
OracleのUniversal CreditはどのOCIサービスにも利用でき、顧客はOCIコンソールから簡単にこのクレジットによる支払いを済ませることができる。また、Support RewardsもOCIコンソール上に毎月自動的に加算され、いつでも利用できる。Oracleによると、顧客は少数のワークロードをクラウドに移行することで、同社に支払うサポート費用の全額を実質的に補填(ほてん)することも理論的には可能だという。
Oracleの共同創業者で最高技術責任者(CTO)のLarry Ellison氏は22日、オンラインイベントで、同社は「顧客によるテクノロジーへの投資をいつでも、そして継続的に保護していく」と顧客に約束すると述べた。
Ellison氏は、Oracleが大規模アプリケーションビジネスとともに大規模インフラビジネスを手掛ける唯一の企業だとして、クラウド業界において同社がユニークな立場にあると述べた。
同氏は、「われわれはこれらのビジネスが極めて高い相互補完性を有していると考えている」と述べ、「アプリケーション開発者は、さらなる成功に向けて何が必要なのかをインフラ開発者に伝えられる」と話した。
Support Rewardsプログラムによって、Oracleと大規模ライセンス契約を結んでいる顧客に明確なインセンティブがもたらされる一方、同社も利益を期待できる。サポートライセンスの売上高を1ドル放棄するだけで、クラウドの売上高が4ドル(約440円)見込めるのだ。
最高経営責任者(CEO)のSafra Catz氏は第4四半期決算のカンファレンスコールで、クラウドは「基本的に、オンプレミスと比べてより収益性が見込める事業だ」と述べていた。OCI消費の売上高は第4四半期に103%増加したという。
OCI担当バイスプレジデントのRoss Brown氏が米ZDNetに語ったところによると、同社の目標は「ライセンス指向の企業から転換し(中略)OCIにおけるカスタムアプリケーション、そしてデータサイエンス、機械学習(ML)から、われわれのSaaSプラットフォームでの実行に至るまで、業務全体を実行できるプラットフォームを提供するサービス企業になることだ」と述べた。
Brown氏によると、これはOracleのテクノロジーだけでなく、顧客とのエンゲージメントについても再考するという意味を持っている。例えば、営業担当者は獲得した契約の数ではなく、顧客が消費した量に基づいて報酬を得るようになるため、顧客とのより強固な関係を築くことが奨励される。さらに顧客サポートチームは開発者チームに所属するようになるため、顧客サポート担当者からの機能面での要求はその他の新機能と同じ優先順位を持つようになる。
このSupport Rewardsプログラムは、クラウド移行を奨励し、円滑化するために同社が立ち上げた一連のイニシアチブの1つとなっている。こうしたイニシアチブには、「Oracle Bring Your Own License(BYOL:ライセンス持ち込み)」や「Oracle Customer to Cloud」「Oracle Cloud Lift」といったプログラムがある。
Support Rewardsプログラムは、VMwareのライセンスといったサードパーティー製品には適用できないようだ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。