日本オラクルは3月16日、ハイブリッドクラウドを切り口とした「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」などインフラ製品のビジネス状況を説明するオンラインミーティングを開催した。IaaS市場で後発の同社だが、競合に引けを取らないとするハイブリッドクラウドソリューションの実績ぶりをアピールした。
日本オラクル 常務執行役員 テクノロジー事業戦略統括の竹爪慎治氏
常務執行役員 テクノロジー事業戦略統括の竹爪慎治氏は、国内での提供開始から約2年が経過したOCIについて、家電販売のエディオンが多数の基幹業務システム群をオンプレミス環境から移行するなどの大規模事例が出ていると説明。2021年1月現在でハイパースケールデータセンター群によるリージョンは世界に29、Microsoft Azureと接続する「Azure Interconnect」対応リージョンが6ある。竹爪氏は企業利用に注力するOCIが災害対策(DR)の観点からデュアルリージョン化を推進しているとした。日本では東京と大阪の2リージョンがあり、東京はAzure Interconnectリージョンとしてもサービスを提供している。
Oracle Cloud Infrastructureの拠点
クラウドデータセンターと連携するエッジコンピューティングソリューションでは、2月にアプライアンス型製品の「Oracle Roving Edge Infrastructure」を投入した。ここにはOCIの基本構成が実装済みで、現場発データの前処理や人工知能(AI)の推論実行などの用途を想定する。竹爪氏は、競合他社が展開する同様のアプライアンスなどに比べストレージサービスやGPU性能などの面で差別化を図っているとした。
エッジ向けのOracle Roving Edge Infrastructure
また、Oracleは顧客先の環境でコンピューティング環境を稼働させる「@Customer」を長らく提供する。1月には、NTT西日本が「地域創生クラウド」のサービス提供能力を拡張する目的でExadate Cloud@Customerを導入。竹爪氏はパーシステンスメモリーの採用など新技術への対応を継続していると説明した。
2020年夏には、OCI環境を顧客のデータセンターで構築、運用する「Oracle Dedicated Region Cloud@Customer」や、オンプレミスのVMware環境をOCIで利用する「Oracle Cloud VMware Solution」の提供を開始した。Oracle Dedicated Region Cloud @Customerは、野村総合研究所が世界で初採用し、同社の金融業界向けSaaS基盤をこれに移行するプロジェクトを推進中。竹爪氏によれば、オーマンの約120の政府系機関向けIaaSでも採用されるなど公共分野での利用も広がっているという。
Oracle Cloud VMware Solutionの概要
Oracle Cloud VMware Solutionについても、日本オラクルのパートナーや顧客の数社で既に利用を始めているといい、「管理レベルの高いオンプレミスでのVMwareの運用方法がそのままで、OCIの高い性能を利用できる点が評価されている」(竹爪氏)とした。