日本オラクル、「Dedicated Region Cloud@Customer」を提供開始--顧客DC内に専有リージョン

藤本和彦 (編集部)

2020-07-14 07:00

 日本オラクルは7月13日、パブリッククラウド「Oracle Cloud」と同等のサービスを顧客のデータセンター内に構築する「Oracle Dedicated Region Cloud@Customer」の提供を開始した。

 テクノロジー事業戦略統括 常務執行役員の竹爪慎治氏はオンライン説明会で、IDCの調査結果をもとにIT基盤におけるクラウド活用の現状を振り返った。パブリッククラウドの利用は急速に拡大していると言い、IT基盤におけるパブリッククラウドの割合は、グローバルで37.2%を占めると話す。それに対して日本は23.0%にとどまっており、「基幹システムへの適用では2割に達していないのではないか」(同氏)と導入の遅れを指摘する。

 パブリッククラウドの利用が進まない要因として挙げられるのが、法規制への対応やデータの機密性がある。レイテンシーの要求が厳しいアプリケーションを運用している場合もオンプレミスの環境にワークロードを残さざるを得ない。「複数の顧客が利用するパブリッククラウドでは、業界のコンプライアンスやセキュリティポリシーの観点から、そこにデータを保管したりサービスを利用したりするのに抵抗感がある」(竹爪氏)という声があった。

 一方で、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大や業界の垣根を超えた競争の激化によって、デジタル変革(DX)を推進したいという声も増えており、パブリッククラウドの柔軟性や俊敏性を生かしたいというニーズも高まっているという。

 Dedicated Region Cloud@Customerは、クラウドサービスの提供に必要な設備一式を顧客のデータセンター内に設置し、同社が管理・運用するマネージド型サービス。同社がパブリッククラウドで提供しているIaaS、PaaS、SaaSなど50種類以上のクラウドサービスを利用できる。アーキテクチャーや運用管理、SLA(サービス品質保証)、セキュリティ水準、課金モデル・価格帯などは同社の商用リージョンで提供されているものと同じものが提供されるという。

Dedicated Region Cloud@Customerの配置モデル Dedicated Region Cloud@Customerの配置モデル
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Dedicated Region Cloud@Customerで提供するサービス例 Dedicated Region Cloud@Customerで提供するサービス例
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 オンプレミスのセキュリティやデータの分離性を保持したまま、パブリッククラウドと同一のサービス基盤を利用したいという要望に応える。単一のクラウド基盤上でワークロードの集約やオペレーションの改善、ワークロードの合理化を実現する。

 執行役 最高経営責任者のKenneth Johansen氏はDedicated Region Cloud@Customerについて、「オラクルのパブリッククラウドサービスを100%利用できる完全なOracle Cloud Infrastructureリージョン」とアピールし、「パブリッククラウドへの移行を進めている顧客で、規制やパフォーマンス、レイテンシーなどの理由でオンプレミスにとどまる必要があるワークロードを抱えている企業が対象」になるとコメントした。

 竹爪氏はDedicated Region Cloud@Customerのユースケースとして、金融・公共などの「オンプレミスと同等の要件が求められるクラウド環境」「既存システムと密な連携が求められるハイブリッド環境」「パートナー主体のサービス展開のための基盤」を挙げる。国内では野村総合研究所(NRI)がDedicated Region Cloud@Customerを採用したと発表されている。

Dedicated Region Cloud@Customerのユースケース Dedicated Region Cloud@Customerのユースケース
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 Dedicated Region Cloud@Customerの利用価格は月額50万ドルからで、最低3年の利用が前提となっている。また、今回の発表と併せて、2019年9月に提供を開始した「Oracle Exadata Cloud@Customer」で「Oracle Autonomous Database」が利用可能になったことも発表された。

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