調査

コンフィデンシャルコンピューティング市場が拡大、2026年に6兆円規模に--Linux Foundation

Jonathan Greig (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2021-11-04 07:00

 The Linux FoundationとConfidential Computing Consortiumが発表した市場調査レポートによれば、2026年にはコンフィデンシャルコンピューティング市場の規模が540億ドル(約6兆1600億円)に達すると予想されるという。

 Everest Groupが実施したこの調査では、最善のシナリオではコンフィデンシャルコンピューティング市場が2026年まで年平均成長率90%~95%で成長し、最悪のシナリオでも成長率は40%~45%に達すると予想されている。このレポートをまとめるにあたっては、Everest Group独自のデータセットや、市場の主なステークホルダーから聞き取った意見、Confidential Computing Consortiumの参加企業から収集したデータや意見が使われた。

 Confidential Computing Consortiumの参加企業には、AccentureやANT Group、Arm、Facebook、Google、華為技術(ファーウェイ)、Intel、Microsoft、Red Hatなどが名を連ねている。

 同コンソーシアムは、コンフィデンシャルコンピューティングについて、「計算をハードウェアベースで実現された信頼できる実行環境(TEE)で実行することによって使用中のデータを保護する」ものだと説明している。

 Everest ResearchのプラクティスディレクターであるAbhishek Mundra氏は、コンフィデンシャルコンピューティング技術の導入状況はまだ比較的初期段階にあるが、今回の調査は「この技術が、利用する企業にとってだけでなく、これを可能にするテクノロジープロバイダーやサービスプロバイダーにとっても大きな成長の可能性をもたらすものであることを明らかにした」と述べている。

 調査では、この技術に強い関心を持っているのは、銀行業界や金融業界、保険業界、医療業界、ライフサイエンス業界、公的部門、防衛産業などの規制が厳しい産業であり、これらの産業がこの技術の立ち上がりを支えることになる見込みであることが分かった。

 市場がハードウェア、ソフトウェア、サービスの各分野でけん引される一方で、他の産業では、プライバシー規制やサイバー攻撃の増加が普及を後押しする一因になるという。

 レポートでは、マルチパーティー計算とブロックチェーンが「市場シェアの大部分を占める」と予想している。Confidential Computing Consortiumの理事長であるStephen Walli氏は、多くの企業がデータをクラウドに移行しているため、セキュリティに対するニーズが「劇的」に変化していると話す。

 「機密データをライフサイクルを通じて保護、管理するニーズの高まりと、業界の規制、サイバーリスクの増大が相まって、コンフィデンシャルコンピューティングは今後計算量的安全性を確保するためのデファクト技術になるとみられる」と同氏は言う。

 Confidential Computing Consortiumのアウトリーチ委員会責任者であり、Fortanixの最高収益責任者を務めるDavid Greene氏は、コンフィデンシャルコンピューティングに対する需要がもっとも大きいのは銀行業界、金融サービス業界、医療業界で、そのすべてが非常に機密性の高い情報を大量に抱えており、それらのデータを安全に使いたいという現実のニーズがあると話す。

 Greene氏は、「顧客は、機密性の高いデータも含めて、所有するあらゆるデータを社内やほかの企業とのコラボレーションで活用したがっている。これは、医療や、生産性や、人々の生活改善のための重要な研究や新たなソリューションの開発に進歩をもたらす可能性のあるデータだ。データが保存中であるか、移動中であるか、使用中であるかに関わらず安全性を確保できることは、あらゆる産業の組織に恩恵をもたらす」と述べている。

 「インフラのセキュリティに存在する穴に起因するデータの漏えいが相次いでいる。インフラを守るのは非常に困難だが、これは脆弱な点が多すぎるためだ。コンフィデンシャルコンピューティング技術では、データの保護に着目した新たなアプローチを取っており、使用中のデータでさえ保護される。これは、ほかの技術ではできないことだ」

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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