凸版印刷とDeNA、メタバース空間におけるアバター生成管理基盤を実証

大場みのり (編集部)

2022-11-07 13:09

 凸版印刷は11月7日、ディー・エヌ・エー(DeNA)と共同で、メタバース空間におけるアバターの真正性付与/証明に関する公開実証実験を実施すると発表した。

 同実証では、DeNAのメタバースイベント「Mobage 3D Park」の参加者が、凸版印刷のアバター生成管理基盤「AVATECT」を活用して、真正性情報をアバターに付与できるようにする。実証を通して凸版印刷は、アバターの不正コピー防止をはじめとする著作権保護の効果や真正性が付与されたアバターの挙動に関する技術検証などを実施する。

実証で生成されるアバターのイメージ
実証で生成されるアバターのイメージ

 メタバース市場への関心が急速に高まる中、国際的な倫理規定や新たな技術に対するルールの策定が進んでいないことによるリスクがメタバース普及の大きな課題となっており、匿名性の高いキャラクターアバターの不正利用や、バーチャル店舗における店員や窓口職員などの接客業務におけるなりすましなど、新たなリスクが考えられるという。

 そこで凸版印刷は、アバター本体の管理や本人認証に加え、アバターに電子透かしや非代替性トークン(NFT)を付与するAVATECTを2022年2月に開発。メタバースに参加する個人や企業に安心・安全な体験や経済活動の場を提供することを目指している。

 DeNAは11月7日、同社のSNS「Mobage(モバゲー)」で提供しているアバターをメタバース空間で利用できるイベント・Mobage 3D Parkをプレオープンする。同イベントでは、Mobageゆかりの展示物や「怪盗ロワイヤル」「農園ホッコリーナ」といったゲームのブースも用意しており、ユーザーはアバターを使って展示物と記念撮影することが可能。イベントの本公開は2023年初頭を予定しているが、プレオープンとして11月7~12日の期間、ユーザーは一部コンテンツを体験できる。

 凸版印刷は同イベントにおいてAVATECTの公開実証実験を行い、アバターの流出や改ざんなど、メタバースビジネスにおける課題の抽出や、課題に対するAVATECTの有用性を検証する。

 実証では、ユーザーがMobageからアバターをダウンロードし、AVATECTへアップロード。AVATECTの利用可否は選択可能だという。AVATECTで真正性情報を付与し、メタバース空間にアップロードすることで、ユーザーはアバターを利用できる。真正性が付与されたアバターを持っているユーザー同士は、確認コードを交換することでアバターの真正性情報に関する内容を確かめられる。

 凸版印刷は、AVATECTでの保護対象をフォトリアルアバターだけでなくキャラクターアバターにも拡張させ、メタバース事業においてIP(キャラクターなどの知的財産)を保有している企業との連携を強化する。そして、メタバースを起点にしたエコシステムの形成や国際標準化を目指し、2025年度までにメタバース関連事業として100億円の売り上げを目指している。

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