日立システムズは、クレジットカード会社などが支払い延滞者に対して実施する延滞債権の督促業務(返済期日を超過した債権に対する回収業務)にAIを活用する「債権督促効率化AIサービス」を提供開始した。2025年度までに累計10億円の売り上げをめざす。
同サービスは、従来オペレーターが架電対応していた延滞債権の督促案件に対し、AIによる督促手段の判別により自動音声応答システム(IVR)架電対応で回収が見込める案件を導き出すサービス。
同サービスを利用することにより、架電対応案件を減らし、オペレーターの作業負荷軽減が可能となる。さらに、IVR架電対応では回収が難しい案件については、延滞者の特性とオペレーターの相性を考慮したAIによるマッチングにより、延滞債権の回収率の向上が見込める。
「債権督促効率化AIサービス」の概要図
同サービスのAIモデルは大手クレジットカード会社との実証実験で構築し、その有効性が認められたもの。実証実験では、延滞債権、督促手段、オペレーターに焦点を当て、クレジットカード会社が保有している債権督促業務に関する各種データを日立のAI「AT/PRC(Hitachi AI Technology/Prediction of Rare Case)」に投入した。同AIは発生頻度の低い事象を高精度で予測し、その根拠を提示する。
AI分析により、(1)延滞債権×督促手段、(2)延滞債権×オペレーターの有効なマッチングモデルを構築し、カード会員の増加に比例して増加する延滞債権の督促業務の全体最適化を図る検証を行った。その結果、架電対応案件を減少させ、オペレーターの作業負荷軽減を確認したほか、延滞債権の回収率の向上を確認している。
今後、同社では、督促を行わなくても一定期間経過すると入金が見込める案件を抽出するAIモデルの検証を実施しており、今後、同サービスへの追加を予定している。