アイ・ティ・アール(ITR)は9月29日、クラウドコンピューティング市場における国内PaaSおよびIaaS(Platform as a Service、Infrastructure as a Service)市場についての調査結果を発表した。
これによると、国内PaaS、IaaS市場の2009年度の売上金額は116億5000万円となり、前年より倍増したとしている。ITRでは、2009年度後半から参入ベンダーが急増しており、また2010年度より本格的に市場参入するベンダーも多いことから、2010年度は前年比で約2.5倍とさらに拡大すると予測している。
また、ベンダーシェアでは、NTTコミュニケーションズが堅調に売上げを伸ばし、34.4%のシェアを獲得。2位は、SaaS市場の草分け的ベンダーであるセールスフォース・ドットコムが獲得し、この市場でも健闘している。3位のIBMは、パブリック型のサービスメニューの拡充を進めつつあり、2010年度にはさらにシェアを拡大する見込みとしている。
ITR、シニア・アナリストの甲元宏明氏は「IaaSは、仮想サーバやサーバOSなどのITインフラを提供するサービスであり、サービスそのものの差別化は容易ではない。そのため、既にIaaS市場は価格競争に突入している。今後は、クラウドサービスプロバイダー(CSP)の技術力や経営体力の勝負となり、良質なサービスを低価格で提供できる運用技術やノウハウをもつCSPが生き残っていくだろう。これに対し、事業規模が小さく、技術的な差別化が困難なCSPが生き残る可能性は低いと考える」とコメントしている。