アイ・ティ・アール(ITR)は8月25日、2009年度の国内仮想化管理市場の調査結果を発表した。ITRは今回の調査で、システム運用管理分野とITサービス管理分野にわたる18の製品分野を対象に、国内41社のベンダー製品の調査を行った。また同日、この調査結果をもとにした市場調査レポートを「ITR Market View:運用管理市場2010」として発売している。
この調査によれば、国内運用管理市場の2009年度の出荷金額は約1100億円となり、前年比2.4%増にとどまった。市場全体としては低調ながら、仮想化管理とDCA(データセンター自動化)分野が高成長を記録しているとITRでは説明している。
中でも、仮想化管理市場の2009年度の出荷金額は、前年より3倍強の20億2500万円と大きく拡大し、2010年度も引き続き2倍強の高成長が見込まれるという。仮想化管理製品は、仮想環境に対する管理機能全般を対象とし、VM(仮想マシン)監視、プロビジョニング、リソース監視、フェールオーバー、ディザスタリカバリ、ワークフロー、サービスレベル監視、チャージバック(課金配賦)などの機能が含まれる。
同市場ではハイパーバイザベンダーが強い勢力をもち、2009年度はヴイエムウェアが40.7%のシェアを獲得、これにマイクロソフトが18.7%のシェアで続いているという。一方、日立製作所などシステム運用管理製品ベンダーは、主要ハイパーバイザに対応した製品やモジュールを提供し、シェアを徐々に拡大していくとITRでは予測している。
ITRのシニア・アナリストである金谷敏尊氏は「仮想化管理製品はさまざまな種類のツールが提供されているが、現状は仮想環境を監視する初動対応向けの製品に需要が集まっている。今後は、仮想環境の運用を改善する試みがなされるなかで、ライブマイグレーション、ディザスタリカバリ、課金管理といった高度な仮想化機能への関心が高まり、仮想化管理市場は拡大していくだろう」とコメントしている。