米Salesforce.comは12月8日(米国時間)、Rubyのクラウドプラットフォームを提供するHerokuの買収を発表した。約2億1200万ドルの現金での買収となる。
Herokuは2007年に創業した企業。すでにHeroku上で10万5000ものアプリケーションが稼働しており、米大手家電小売店のBest Buyやスポーツ専門サイトのESPNなどもHerokuで動いているという。
Salesforce.comのCEO、Marc Benioff氏は、次世代のクラウドコンピューティングを「Cloud 2」と呼び、Cloud 2は「ソーシャルで、モバイルで、リアルタイムなもの」と位置づけているが、「Rubyは展開も早く、多くのソーシャルアプリケーションやモバイルアプリケーションで使われている。まさにCloud 2の言語だ」としている。Rubyで書かれたアプリケーションの例としてBenioff氏は、TwitterやGroupon、オンラインビデオサービスのHuluなどを挙げ、「今回の買収により、Salesforce.comは次世代のアプリケーション開発者の基盤として位置づけられることだろう」と述べた。
Salesforce.comは、すでにVMwareとの提携でJavaのクラウドプラットフォームとなるVMforceを提供するとしている。しかし、すべての開発者がJava開発者というわけではなく、「知っている言語を使いたい」という声があったという。そこで同社が目をつけたのがRubyというわけだ。「Herokuを買収することで、再び世の中を変えられると思った」とBenioff氏は言う。
HerokuのCEOであるByron Sebastian氏は、「いままで顧客は、オープンで革新的なプラットフォームか、長年信頼されてきたプラットフォームかのどちらかひとつを選ぶしかなかった。しかし今回Salesforce.comとHerokuが一緒になることで、Herokuの革新性とSalesforce.comの信頼性の両方が手に入ることになる」と述べた。
Herokuのブランド名は買収後も存続する。買収は2011年1月末までに完了する予定だ。