日本オラクルは6月26日、同社のCRMソリューションに関する戦略説明会を開催した。これは、6月28日から30日に東京ビッグサイトで開かれる「データウェアハウス&CRM EXPO」への出展に先駆けて行われたもの。
日本オラクル執行役員アプリケーションマーケティング本部長の藤本寛氏は、オラクルのミッションを「顧客の継続的な競争力の源泉をソフトウェアで支援すること」と改めて強調する。オラクルは、今年はじめに買収を完了した膨大な顧客ベースを持つSiebelのCRM製品と、Oracle製品とのインテグレーションにより、フロントオフィスからバックオフィスまでの縦軸と、広範囲な業種別のソリューション、つまり横軸をワンストップで提供できる体制を整えている。同氏は、オラクルの提供する「未来型」のCRMソリューションの特徴として、「顧客志向の業種向けソリューション」「包括的なビジネス・アナリティクス」「柔軟性と多くの選択肢」の3点を挙げた。
「顧客志向の業種向けソリューション」は、「ある意味で当たり前のこと」としながらも「実績のあるCRMの各種業務向けプロセスを、顧客のニーズに合わせ、短期間かつ低コストで、フロントオフィスからバックオフィスまで、責任をもってインテグレーションできる企業はオラクルのほかにない」(藤本氏)と自信を見せる。
オラクルでは、2008年までに同社が買収した各ベンダーのアプリケーションをSOAベースで統合する「Project Fusion」と呼ばれる計画を推進しているが、それに加え、すでに多くのユーザーベースがある現行の各ソリューションを拡張する「Project Genesis」も今年度中の提供を目指して準備中という。これは、Siebel製品を核として、既存のOracle Applications、PeopleSoft、i-flexによるソリューションとの連携や統合を実現するもの。Project Fusionの実現に先駆けて、既存のソリューションを統合したい顧客に対する選択肢のひとつとなる。
また、ビジネス・アナリティクスの分野では、従来のクエリ、レポーティングベースのビジネスインテリジェンス(BI)を越えて、現在のビジネスの状況をリアルタイムに意思決定に生かすための「Siebel Business Analytics」アプリケーション、およびプラットフォームを推進していくとする。これは、ビジネスにおける短周期のPDCAサイクルを実現するため、「リアル・タイム・ディシジョン・エンジン」(RTD)と呼ばれる一連のアプリケーション群によって、顧客の資産内容や購買履歴などの情報をあらゆる顧客接点でリアルタイムに収集し、最適なアクションを迅速に提示するものという。
コスト削減などを目的としたITによる業務の効率化が、すでに限界に達しつつある現状において、企業がさらに競争力を高めていくためには、ITによってビジネスにおける付加価値を高め、継続的に収益力を向上させていく必要がある。オラクルは、特にCRMの分野において、これらの戦略をベースとし、「顧客の継続的な競争力の源泉を支えていく“ハイ・バリュー・アプリケーションベンダー”を目指す」(藤本氏)という。