ディーバは8月27日、連結会計システム「DivaSystem」の最新版となる「DivaSystem 9.3」を発表した。11月末から提供開始となる。既存ユーザーには、通常のバージョンアップとして保守費用内で提供される。
現在の日本企業の国際会計基準(International Financial Reporting Standards:IFRS、「国際財務報告基準」とも呼ばれる)に対する注目は、もっぱら2014年もしくは2015年にも強制適用が始まるという点に集中している。しかし、それ以前にも日本基準をIFRSと同等のものにする“コンバージェンス(収斂)”による制度改正が断続的に行われているのが実態であり、日本企業はこの制度改正に対応する必要がある。同社は先日、DivaSystemのIFRS対応ロードマップを発表したが、今回発表された最新版はロードマップの中で「コンバージェンス版」と呼んでいたものになる。
IFRSへのコンバージェンスとしては、2010年4月以降に始まる事業年度で「マネジメントアプローチ」が採用されることになっている。マネジメントアプローチは、米国会計基準やIFRSで採用されているもので、企業の経営者が企業内で実際に使っている予算管理や収益管理などを行う事業セグメントごとの業績開示方法だ。
マネジメントアプローチで業績が開示されることで、投資家は経営者と同じ視点で業績を評価できるようになる。これまで、企業内での管理を目的にした「管理会計」と外部に公開するためにまとめられる「制度会計」が融合した、と表現することができる。こうした事情から、マネジメントアプローチは、現状の経営管理に大きな影響を与えるものと見られている。
最新版のDivaSystem 9.3では、このマネジメントアプローチに伴う経営管理機能として、「事業・地域マトリクスでの分析機能」「制度連結と管理連結/月次管理と四半期別管理などの比較分析機能」を強化している。
DivaSystem 9シリーズは、グループ経営基盤として管理連結機能を強化している。異なる連結範囲、事業セグメント体系、勘定科目体系、連結処理基準で処理することで、予算・実績・見込み・制度連結などの各種連結を簡単に比較分析できるようになっている。
業績分析機能としても、会社や事業セグメントといった切り口だけでなく、ユーザーによる任意の分析軸を追加。たとえば「仕向け地別の売上高」や「製品別の営業利益」など、制度連結で必要となる見方よりも細かい単位の情報について、連結ベースで把握・分析することができるようになっている。
持ち株会社制やカンパニー制の導入などで分権化された責任単位ごとに処理して、情報を共有する機能も強化している。グローバル向けとして中核モジュールを英語化、入力ツールの中国語対応を済ませている。
単体決算は日本基準のままの公算
DivaSystem最新版を発表した同社は同日、2010年6月期の事業方針説明会を開催している。代表取締役社長の森川徹治氏は、同社を取り巻く環境の変化として(1)IFRS適用への動き、(2)企業の大型IT投資の見直し、(3)経営情報活用ニーズの高まり――の3点を挙げた。そうした環境の変化に対して同社は中期的対応として、[1]IFRSを契機に投資対効果(ROI)の高い“現実解”を提供、[2]連結経営ソリューションの拡充――という2つを取るとしている。
IFRSの適用は欧州連合(EU)が先行しているが、森川氏によれば、EUの場合、実際にはIFRSは投資家向けだけで適用されているという。また、日本国内でIFRSがどう適用されるかという視点で考えると「IFRSは金融商品取引法(金取法)の要請によるもの」(森川氏)と説明。こうした状況から、今後IFRSが日本国内で適用されるとしても、会社法や税法によって、企業単体の財務諸表は日本基準が残る可能性が高いとしている。