OBC、「奉行V ERP」のIFRSロードマップ公表--推進委員会も設置

田中好伸(編集部)

2009-11-30 16:02

 オービックビジネスコンサルタント(OBC)はこのほど、同社の統合基幹業務システム(ERP)パッケージ「奉行V ERP」の国際会計基準(IFRS)対応ロードマップを明らかにした。

 早ければ2015年にも強制適用が始まる見込みのIFRSだが、2015年以前にもIFRSへの“コンバージェンス(収斂)”がある。たとえば「資産除去債務」やマネジメントアプローチ採用による「新セグメント会計基準」などの項目が挙げられる。

 資産除去債務は、有形固定資産に関するもので、有形固定資産を将来撤去、または移転するための費用、そしてその固定資産がある場所の原状回復に必要な費用をその固定資産の取得原価に含めるというものだ。一方の新セグメント会計基準は、従来、企業の経営層が意思決定に用いていた製品別や拠点別などのセグメントの分け方を、外部への決算書にも当てはめるというものだ。企業の内部組織構造に基づいて開示するものだが、投資家は企業経営層と同じ視点で見ることができるようになる。

 2010年3月にリリースされる奉行V ERPの“コンバージェンス対応版”は、資産除去債務や新セグメント会計基準に対応している。そのほかに過去の変更や誤謬を修正する「過年度遡及修正」、廃止した事業を財務諸表に載せる「廃止事業」表示、研究開発費なども資産として載せる「無形資産」表示、のれんの非償却や減損などに関係する「企業結合」などに順次対応していくとしている。

 IFRSの強制適用を2015年に始めるのか、それとも2016年に始めるのかは2012年に判断されることになっている。OBCでは、その前の2011年に複数の会計基準に対応したシミュレーションが可能になる「移行期シミュレーション対応版」をリリースする予定だ。

 移行期シミュレーション対応版では、税法や会社法などに対応するための日本基準と、有価証券報告書に対応するためのIFRSという「複数帳簿」対応、区分変更やキャッシュフロー計算書などの表示、出荷基準から検収基準へと変更される「収益認識」の違いなどに対応していく。また、税務と日本基準、そしてIFRSという3つに対応する「固定資産複数系統償却計算」にも対応する方針だ。

 2012年の判断を受けたあとでOBCは、会計基準が大きく変わる「アドプション対応版」をリリースする予定としている。

 今回の発表にあわせてOBCは、「IFRS推進委員会」を設置したことを発表した。IFRS推進委員会は、IFRSに関する情報やノウハウの集中化、共有化を図って、多くのユーザー企業の要望を製品やサービスに反映していくことを目的にしている。またOBCは、IFRSに関連する特設サイトを開設、そこでユーザー企業向けにIFRSに関連する情報を発信していく。

ロードマップ 「奉行V ERP」のIFRS対応ロードマップ
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