富士通と成田国際空港は共同で、航空機の離着陸予定などの運航情報を一括管理する運航情報管理システム「NARC III」(Narita Airport Ramp Control System III)を再構築した。富士通が11月4日に発表した。
富士通によれば、費用は「保守と機器のリース代で約2億8000万円」。そのほかに別途、システム構築費用が発生しているという。2007年上期に要件定義に着手、下期からシステム開発を始め、丸2年を経た2009年6月に本格稼働を開始した。
成田国際空港は、B滑走路を2180mから2500mへ延伸する工事を実施、2009年10月から2500mのB滑走路の供用を始めている。成田国際空港では、2010年3月には空港全体の年間発着回数が20万回から22万回に増えると予想しており、NARC IIIの再構築で運用管理を強化する意向だった。
富士通と成田国際空港は、メインフレームを使ったシステム「NARC II」を、富士通のUNIXサーバ「SPARC Enterprise」を活用し、オープン系システムとして再構築。これにより、メインフレームの技術者の減少と、その技術ノウハウの継承問題の解決を目指す。また、悪天候による運航トラブル発生時に事態を早急に収束できるようシステムの操作性を改善するなど、機能向上や業務効率化を図った。
NARCは、成田国際空港を離着陸する全ての航空機運航の予定情報、現在情報、実績情報を一貫して正確、適時に把握し、安全かつ円滑な空港運用を支援する基幹システム。国土交通省航空局から送られるフライトスケジュールや、航空会社からの運航情報といった情報を一括管理している。
NARCで管理する情報は航空機の施設使用記録となり、成田国際空港の大きな収入源である着陸料、停留料などの基礎データとして使用されているという。