紳士服最大手の青山商事は、物流拠点「千葉センター」(千葉市美浜区)の2月の開設でRFID搭載ハンガーを応用した「ホイールシステム」と連動させた在庫管理システムを稼働させている。富士通が3月15日に発表した。
ホイールシステムは、センター内に張り巡らせたレール上をRFIDタグを搭載したホイールにつり下げたスーツや洋品が移動して、保管や仕分け、出荷を自動的に行う。センター内に入庫する商品とホイールに搭載されたRFIDタグとひも付けて、センター内の情報をすべて自動的に管理する。
今回のホイールシステムは、日本で初めてRFIDタグを利用しているという。欧米数社で採用されているドイツ企業のホイールシステムをベースに青山商事が独自の工夫を加えて、24時間連続で無人でピッキングできる機能を搭載している。
このホイールシステムで毎日適正な商品量を供給して店舗の在庫を維持することで、店舗のバックヤード在庫を最小限にして貸借スペースを少なくできるという。従来型店舗の売り場面積は150坪以上が標準となっているが、賃料の高い首都圏の物件では100〜120坪程度の店舗でも出店できるようになり、貸借料の軽減につながるとともに対象物件が広がり、出店スピードを上げられるようにもなるとしている。
千葉センターには、ホイールシステムとともに早期納品システムが導入されている。これは、早朝に店舗に従業員がいなくても商品の受け渡しができるシステムであり、千葉センターの夜間無人ピックアップ機能を活用して、店舗の開店前に商品を配送する。開店時からの品ぞろえを充実させられるようになるとともに、日中の交通渋滞を避けて、配送効率を向上させられるようにもなるという。
千葉センターでは、首都圏の店舗に早朝納品し、翌朝には売れた商品の売り場補充ができるようになることで、翌日の販売機会損失を防げるようにもなる。繁忙期には早朝納品に加えて夕方納品することで当日の夕方以降の売り逃しも防止できるようになる。
千葉センターから商品をハンガーで納品することで、商品の売り場補充が短時間で行えるようになり、仕入れ伝票入力などのバックヤード業務が軽減されることで、従業員の接客時間の創出につながり、顧客へのサービス向上を図れるようにもなるという。
青山商事によると、今回の千葉センターと同等の処理能力と規模を持つ物流センターを仮に想定すると、200人以上の人員が必要になるという。千葉センターではRFIDタグ制御による自動化機能を導入することで、最小の人員で運営できるようになっている。
同社が2008年秋から展開するネット通販は、年間30〜40%増で伸びているといい、千葉センターは、ネット通販を拡大するための物流拠点になる予定。センター内には、通販商品用の撮影スタジオを設置。将来的にネット通販の物流拠点を千葉センターに集約して、受注から発送までの時間を短縮できるようになるとしている。
今回の千葉センターで、富士通はシステム基盤を構築している。PCサーバ「PRIMERGY」やストレージ「ETERNUS」などで構成されたシステムは、二重化などの仕組みで24時間365日の運用に耐えられるようになっているという。運用管理ソフトとして「Systemwalker」なども活用されている。