マイクロソフトのIE8互換性リストは機能しているか?

文:Mary Jo Foley(Special to ZDNet.com) 翻訳校正:菊地千枝子

2009-02-19 13:37

 「Internet Explorer 8(IE8)」は完成に近づいており、3月には製造工程向けリリース(RTM)に達する可能性があることは確かなようだ。しかしIE8――あるいはもっと正確に言うと――ウェブサイト開発者や保有者たちは、本当に準備ができているのだろうか?

 筆者はIE8のコードが一般に提供されて以来、IE8を試している。そしてこの数カ月間であまり変化していないことが1点あるのだが、それは多くのウェブサイトが依然としてIE8と互換性を有していないという点である。

 筆者はここでサイト保有者を責めているのではない。IEチームがついにIEの標準遵守性を改善することで、「正しい」ことをしているものの、Microsoft関係者はかねてより、そのことが「ウェブを破壊する」危険性があるということも知っていた。なぜならウェブサイトの大半が、標準に準拠していない従来のIEバージョンで正確に動作するように作成されているからである。

 Microsoftはデフォルトとされた標準遵守のビューに移行することによる影響を、いくつかの方法により緩和しようと試みてきた。IE8は「Compatibility View」ボタンを備えており、ユーザーがそれを押せば壊れたように見えるサイトを「修正する」ことができる。さらにMicrosoftは1月にリリースされた「IE8 Release Candidate 1」において、IE8が標準遵守モードではなく互換性モードに自動的に移行するきっかけを作る、ダウンロード可能なサイトのリストを追加することで、また一歩前進している。

 (これがMicrosoftのCompatibility Viewリストの「Version 1.0」に含まれる2400のサイトの一覧である。)

 Compatibility Viewリストには、いくつかの重要なサイト――Apple.com、CNN.com、eBay、Facebook、Google.com、NYTimes.com――そしてMicrosoft.comさえも(!)――のほか、まだまだ多くのサイトが含まれる。ユーザーはまた、このリストに入らなかったが、自分たちがアクセスするサイトでIE8との互換性を有さないサイトを追加するオプションも与えられる。これはユーザーがダウンロードしたスキーマリストに付加されることになる。

 このCompatibility Listは、筆者のIE8ブラウジングをはるかに安定化させた。今ではNYTimes.comサイトにアクセスすると、とにかく問題なく機能する。Compatibility Viewボタン(壊れたウェブページのように見えるアイコンで、通常はURLアドレスバーのすぐ右側に見られる)は、全く表示されない(Compatibility Listに掲載されているサイトの全てにこれが該当する)。

 とはいえ、筆者はアクセスしているがリストに掲載されていないというサイトが数多く存在する。そしてこれらはしばしばIE8で正しく表示されない。ときどき、自分がIE8を使っているせいで見えないボックスやボタン、テキストがあるかもしれないことを確かめるために、Compatibility Viewボタンをヒットしてみるべきだということを思い出す。またある時には、自分がなじみのないサイトにアクセスしている場合には、見失っているものがあることに気が付かないこともある。

 今では筆者は、あるサイトが奇妙に見えるとか、遅いとか、とにかく正常に機能していない様子をみせた場合には、これはIE8の問題だと単に思い込むようになりかけている。それが正しい場合もある(同じサイトをFirefoxやChromeで開いてみると問題なく表示され、機能していることを発見すると)し、それが間違っている場合もある――サイト自体が単にダウンしているか、壊れているのであろう。結論として、IE8を使っているときには、筆者は不安定なブラウジング体験を予期するようになったのだ。

 現時点からIE8がリリースされるまでに、互換性体験が、少しはあるにせよ、さほど大きく変化することはないと思っている。Microsoftはこの何カ月間もサイト保有者たちに対し、互換性タグを加えるか、IE8の変更を踏まえてサイトを作り直すかのいずれかにより、コードをアップデートするように宣伝してきた。多くのサイト管理者や開発者は、Microsoftが最終版に近いテストリリース――少なくともRelease Candidate――を提供するまでは、そのような作業に着手するつもりはないと述べていた。

 批判的な向きは、Microsoftが互換性の対処法を提供することで、開発者にかえって危害を加えていると思うと述べている。Microsoftが標準を軽視した従来のIEリリースを提供することにより、自ら問題を創り出したというのだ――これは本当だ。そしてMicrosoftは今こそ敢然と困難に立ち向かい、100%標準を遵守した方向に進むべきなのであると、批判家たちは論じている。これは長期的には、標準遵守のブラウザとIEのために、異なるバージョンのサイトやアプリケーションを作業することに辟易しているウェブ開発者にとっては良い方向なのかもしれない。しかしそこに至るまでにウェブユーザーが不当に扱われることになる。

 IE8の最終版がリリースされ、技術に強くないユーザーが、それを自動配信される、あるいはIE8がプレロードされた新PCを入手したとしたら、何が起きるだろうか?IEが市場シェアをさらに失うことになったとしても不思議はない。不満を抱えたユーザーが、自分たちのお気に入りのウェブサイトの一部だけが正確に表示されるが、その理由がよく理解できないためである。結局のところ、Operaとその仲間たちは、Microsoftより優位に立つために、反トラスト訴訟までは必要としないかもしれない・・・。

 読者はどう思いますか?MicrosoftはIE8のCompatibility Modeにより、正しい方向に進んでいるのか?

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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