一足早いかもしれないが、新社会人の皆さん、このたびは入社おめでとう。今は新しく始まる会社生活に期待半分、不安半分といったところだろうが、一つ申し上げておこう。会社というところは、何かと書類を要求されるところである。それが紙であれ、電子フォームであれ、何かを書き込んで提出する場面が多くなる。“なぜこんなものを書かなければならないのか”と思うかもしれない。しかし、そこには大きな意味があるのだ。
これから4回にわたって、新社会人の皆さんにもわかりやすいよう、帳票の意味と役割、そして、その来し方と行く末を論じてみたい。
伝票なしに商品が動くと思うな――仕事は紙について回る
私が最初に入った会社は百貨店だった。宣伝部だったのだが、撮影に必要なので売場からいろいろな商品を借りてくる。新人のころ、まだ会社の規定をよく知らず、パッと借りてパッと返せばいいと思って体一つでお願いにいったら、売場の主任さんに怒られた。
「伝票なしに商品が動くと思うな」
納品のときには納品伝票、出荷のときには出荷伝票、商品を貸し出すときには商品貸出伝票。商品をAからBに移動させるときは、それがいかなるときであっても伝票を添付すること。そのとき、仕事には紙がついて回ることを強烈に学んだ。
そもそも帳票とは何なのか、一体どこから来たのか
百貨店では伝票といっていたが、一般には帳票という言葉の方がなじみやすいかもしれない。では、そもそも帳票とは何なのか。
これは会計用語から来ている言葉だ。「帳」は帳簿を意味しており、「票」は伝票を意味している。さらにそれぞれを深く説明すると、帳簿とは、会社や商店の取引を記録しておくもので、仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、仕入れ帳、売上帳などを総称する表現だ。
一方、伝票とは、お金の出入りや取引内容などを記入する紙片のこと。取引の詳細を明らかにし、何かのときには証拠として利用する。具体的には、入金伝票、出金伝票、振替伝票、仕入れ伝票、売上伝票などがある。この帳簿と伝票、二つまとめる形で帳票という言葉が生まれた。
人間の集合体で動く企業にとって「帳票」とは
このように説明すると、企業活動になぜ帳票が必要とされるのか、自然と浮かび上がってくるのではないだろうか。