受発注をすべて電子化できない事情
受発注業務の効率化といえば「電子データ交換(Electronic Data Interchange:EDI)」という言葉がすぐに浮かぶ。しかし現実的にはこれがなかなか難しい。取引先すべてがEDIに対応した環境を備えているとは限らないからだ。さらに小口の取引しか発生しないところや、たまにしか受発注業務が発生しない取引先も含めると、すべてEDI、あるいはEDIにウェブの標準技術を取り入れた「Web-EDI」でカバーするのは、投資対効果(ROI)を考えれば無駄である。
多くの企業が現実的に抱えている、こうした問題を解決するのが、ネクスウェイの「FNX e-帳票FAXサービス」だ。同社のビジネスソリューション推進部営業グループでグループマネジャーを務める山本卓也氏はこう言う。
「今、EDIやWeb-EDI、メールなど電子化が進んでいますが、それで帳票を受けられないお客様に対し、われわれはファクスというすでに広まったツールを使って、帳票をお送りするというサービスを行っています。お客様の基幹システムとわれわれのシステムを直接結び、われわれにデータを送っていただくとファクスを介在して帳票をお送りするというサービスです。システムとしては非常にシンプルなのですが、お客様の基幹システムに完全に入り込んでしまうというものです」
帳票は、単に出力すればそれでいいというわけではない。それを社内の各部署や取引先などとの間でやり取りしなければ意味がない。そこで、誰でもこれを電子的にやり取りしようと考えるのだが、しかし現実的にはそう簡単にいかない。帳票を送るという行為が標準化されていないからだ。
各社が独自の帳票フォーマットをもっており、発注側は当然自社のフォーマットで送る。受ける方にして見れば、バラバラなフォーマットでやってくるわけで、これをシステム化するのは結構ハードルが高い。ウェブで注文を受けても、取引先が100あれば100回取りに行き、100種類の伝票を打ち出さなくてはならない。
ビジネスソリューション推進部エグゼクティブマネジャーの田中宏昌氏が言葉を続ける。
「中小の取引先では、ファクスはあっても、まだまだパソコンなどのインフラがないところも結構あります。こうしたところはもちろんですが、しかし、われわれのサービスが有効なのは、むしろ取引が少ないところですね。取引量が少なければデータではやり取りしません。だからといって、中小だけが対象というわけでもありません。大手であっても取引が少なければファクスで、ということになります」