業務システムに求められる“リッチ”を追求するBiz/Browser:変容するリッチクライアント(2)

柴田克己(編集部) 2006年03月16日 14時05分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 インターネットの技術を利用しつつ、ウェブブラウザ以上に操作しやすいユーザーインターフェースを提供することを目指すリッチクライアントの世界において、特に業務システムのフロントエンドに特化したビジネスを展開しているのが「Biz/Browser」を開発するアクシスソフトだ。

 Biz/Browserの最初のバージョンが発売されたのは1999年。当時は「リッチクライアント」という市場カテゴリもまだ確立しておらず、同社では、Biz/Browserを「業務システム向けブラウザ」と呼び、その呼称を現在も使用している。

 アクシスソフト、プロダクト事業部執行役員プロダクト事業部長の永井一美氏は、ウェブブラウザがシンクライアントとして脚光を浴びていた当時の状況を振り返りつつ、「Internet ExplorerやNetscape Navigatorという無償のブラウザがあり、HTMLという標準技術がある中で、なぜ別のブラウザとプログラミング技法を使わなければいけないのかと、よく聞かれていた」と語る。

 「その中でわれわれが訴えたのは、業務システムのクライアントとして重要な要素は何かという点だった。すなわちそれは、ユーザーが使うプラットフォーム上で、作成したアプリケーションが確実に、安定して、今後も長期にわたって動き続けることを保証すること。その点が理解され、徐々にBiz/Browserの導入が進んでいった」(永井氏)

 ヤマト運輸、第一生命保険といった大手企業における基幹系業務システムのフロントエンドとしての導入を皮切りに採用が進み、日立製作所、日揮情報システムをはじめとする多くのパートナー企業との協力関係もあって、現在のBiz/Browserの導入社数は300社以上、販売実績は35万クライアント以上にのぼるという。

業務システムのUIに必要とされるリッチとは

 Biz/Browserが目指すのは、HTTPのネットワーク上で、従来のクライアント/サーバシステムで用いられていたものと同等以上に、安定性と生産性の高いフロントエンドを提供することだ。

 例えば、通常のウェブブラウザのHTMLとスクリプト言語によるユーザーインターフェースでは、ある入力フィールドへの数値入力後に、次に入力すべきフィールドへと自動的にフォーカスを移動するといった動作を行わせる場合に非常に手間がかかる。また、特定のフィールドへフォーカスを移動した場合に日本語入力システムを制御したり、ファンクションキーにそのアプリケーション独自の特定の機能を割り当てるといったこともできない。さらに、入力されたデータが正当なものかどうかをクライアント側で詳細にチェックするといったことも不得手だ。Biz/Browserでは、こうした機能をユーザーインタフェース側に盛り込むことができ、ユーザビリティの高いクライアント環境を実現できる。

 また、Biz/Browserでは、一度クライアントPCへユーザーインタフェースコンポーネントのダウンロードを行えば、配信サーバ側での更新が行われない限り、再度のダウンロードは行わない。さらに、Biz/Browser上で入力されたデータはクライアント側にキャッシュされ、送信の指示を行ったときに初めてサーバに送られる。このため、ページを遷移するたびにデータを送受信する必要があるウェブブラウザの環境に比べて、ネットワークの通信量も削減される。また、低速回線での利用にも耐えるため、通信速度が遅いモバイル環境を前提にしたシステムでの利用も可能になる。

 現在発売されているバージョンでは、ユーザー企業からのリクエストをフィードバックし、強力なセキュリティ機能や、複数のアルゴリズムによるデータの暗号化、データ改ざんの検出、画面のハードコピーの禁止といった機能が搭載されている。また、日本語に加え、1つのアプリケーションで英語、中国語(簡体字、繁体字)、韓国語に対応することも可能になり、グローバル展開を行う企業での導入も容易になっている。ユーザビリティの向上という観点では、Biz/Browser上でのドラッグ&ドロップによるオブジェクト操作が可能になったほか、スマートカードやUSBトークンといった外部デバイスの制御を可能にするプラグイン機能も盛り込まれている。これらはまさに、業務システムのフロントエンドに特化した製品ならではのポイントと言えるだろう。

Biz/Browserのユーザーインターフェースを構築するための開発環境である「Biz/Designer」。アクシスソフトでは、開発生産性の高いツールを提供することも、リッチクライアントのひとつの定義と考えているという。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連キーワード
開発

関連ホワイトペーパー

SpecialPR

連載

CIO
ハードから読み解くITトレンド放談
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
研究現場から見たAI
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
内製化とユーザー体験の関係
米ZDNet編集長Larryの独り言
今週の明言
「プロジェクトマネジメント」の解き方
田中克己「2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
Fintechの正体
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
情報通信技術の新しい使い方
三国大洋のスクラップブック
大河原克行のエンプラ徒然
コミュニケーション
情報系システム最適化
モバイル
通信のゆくえを追う
セキュリティ
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
セキュリティの論点
ネットワークセキュリティ
スペシャル
Gartner Symposium
企業決算
ソフトウェア開発パラダイムの進化
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
CSIRT座談会--バンダイナムコや大成建設、DeNAに聞く
創造的破壊を--次世代SIer座談会
「SD-WAN」の現在
展望2017
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell EMC World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
さとうなおきの「週刊Azureなう」
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
中国ビジネス四方山話
より賢く活用するためのOSS最新動向
「Windows 10」法人導入の手引き
Windows Server 2003サポート終了へ秒読み
米株式動向
実践ビッグデータ
日本株展望
ベトナムでビジネス
アジアのIT
10の事情
エンタープライズトレンド
クラウドと仮想化