NTTデータとテラスカイが「Salesforce」ビジネスの拡大を目的に資本業務提携を発表した。これまで独立系のクラウドインテグレーターとして成長してきたテラスカイが、なぜ、NTTデータグループ入りすることにしたのか。その真意を筆者なりに探る。
資本業務提携で両社のトップは何を語ったか
資本提携の内容は、NTTデータがテラスカイの発行済み株式数の20.12%を取得する予定で、テラスカイはNTTデータの持分法適用会社となる見込みだ。その過程として、NTTデータはテラスカイの発行済み株式数の15.97%を取得した後、テラスカイから新株予約権の割り当てを受けることにより、株式の保有率を20.12%まで高める。新株予約権の割り当ては、テラスカイが2025年2月期から2027年2月期のいずれかの決算期で、連結営業利益が25億円を超過した場合にのみ行うというものだ。
業務提携については、両社がそれぞれに手掛けるSalesforceビジネスのシナジー効果により、カスタマーエクスペリエンス(CX)領域で3年後に売上高500億円を目指す構えだ。
両社が資本業務提携を発表した4月12日、NTTデータ 取締役常務執行役員コンサルティング&アセットビジネス変革本部長の冨安寛氏と、テラスカイ 代表取締役CEO 社長執行役員の佐藤秀哉氏が合同記者会見を行い、提携の内容や狙いなどについて説明した。会見の内容については関連記事をご覧いただくとして、以下に発表リリースから両社トップのコメントを紹介しておく(写真1)。
写真1:左から、テラスカイの佐藤氏、NTTデータの冨安氏
「テラスカイグループが当社グループの仲間に加わることを大変心強く思う。当社が日本での事業を拡大させるために、Salesforceというデジタルテクノロジーでリーダーポジションにいるテラスカイとの協業は最適な組み合わせであり、コンサルティング、導入、効果創出とエンドツーエンドで迅速かつ強力にお客さまのビジネスを支援することができると期待している」(NTTデータ 代表取締役社長の佐々木裕氏)
「国内外問わず、企業や自治体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進されているNTTデータには、それぞれの法人が抱える課題とその解決策に関する知見が多く集まっている。一方、当社では多種多様な業種のお客さまにSalesforceをはじめとするクラウドサービス導入を数多く支援している。両社の知見を合わせることでお客さま、ひいては日本のDXの推進に貢献していきたい」(テラスカイの佐藤氏)
ちなみに、こうした提携発表の際、提携した企業それぞれのトップがコメントを寄せていれば、筆者はその内容に注目し、記事に盛り込むことが多い。なぜならば、提携の意味やインパクトをトップなりの表現で分かりやすく述べていることが多いからだ。
ついでにこうしたケースでもう一つ述べておくと、コメントを寄せているのがトップでなければ、どういう肩書の幹部か、提携した企業の間でその肩書のレベルがどう違うか、といった点に注目すると、提携の全体像やパワーバランス、気遣いが見えてくる。
少々脱線したが、話を戻して、これまで独立系のクラウドインテグレーターとして成長してきたテラスカイが、なぜ、NTTデータグループ入りすることにしたのか。以下、その真意を筆者なりに探りたい。