テラスカイの2024年2月期決算は増収、投資フェーズから成長フェーズへの進展も

大河原克行

2024-04-16 14:31

 テラスカイは、2024年2月期の通期決算を発表した。売上高は前年比23.9%増の191億3700万円、営業利益は2.1%増の5億2200万円、経常利益は7.4%増の6億5500万円、当期純利益は13.6%減の3億円となった。

決算説明を行うテラスカイ 代表取締役CEO 社長執行役員の佐藤秀哉氏
決算説明を行うテラスカイ 代表取締役CEO 社長執行役員の佐藤秀哉氏

 4月16日の決算説明で代表取締役CEO(最高経営責任者) 社長執行役員の佐藤秀哉氏は、「期初目標に対して売上高が98%の達成率であったものの、営業利益は大きく届かなかった」としながら、「期中に発表した修正計画については目標を達成している。また、売上高は2桁成長を維持しており、引き続き成長トレンドには乗っている。2024年2月期も増収増益を達成している」と総括した。

2024年2月期の通期業績の概要
2024年2月期の通期業績の概要

 期初目標が未達となった要因として佐藤氏は、第1四半期に人材採用を目的としたテレビコマーシャルを実施して、上期に9700万円を投下したほか、製品事業では、「DataSpider Cloud」を自社単独サービスの「mitoco X」とするための費用や、「mitoco ERP」のプロモーション費用などが発生したことで、原価および販管費が増加。子会社のQuemixやTerraSky Thailandの経常損失が1億6600万円になったことを挙げた。

 セグメント別の業績では、ソリューション事業の売上高が前年比25.2%増の176億4300万円、営業利益が6.6%増の20億7400万円となった。DX市場の拡大を追い風とした大型案件の増加や案件数の拡大、テラスカイ・テクノロジーズの事業成長が貢献したという。「子会社の赤字やプロモーションコストおよび採用費、人員増を吸収しつつも、増益になっている」(佐藤氏)とした。

 製品事業では売上高が前年比10.4%増の16億8400万円、営業損失が5200万円減のマイナス1億9000万円の赤字となった。初期導入開発の売り上げが減少したこともあり、売り上げの9割以上をサブスクリプションが占めた。mitoco Xを自社サービスとしてリリースするための費用増やmitocoERPの機能開発への投資、イベント開催費用およびmitocoERPのプロモーション費用の増加が影響した。

 クラウト別では、「Salesforce」が売上高全体の59%を占め、「AWS」や「Azure」「Google Cloud」関連のIaaSが41%となっている。「BeeXやリベルスカイの売り上げ増によりIaaSの売り上げ比率が上昇している」(同)という。

クラウド別および事業別での構成
クラウド別および事業別での構成

 また、サブスクリプションの売り上げ構成比では、mitoco X (旧DataSpiderCloud)が43%、Salesforce向け画面開発ツールの「SkyVisualEditor」が24%、クラウドグループウェアの「mitoko」が25%、電子契約サービスの「クラウドサイン for Salesforce」が6%、会話型AIプラットフォームの「ENOKI」が2%となっている。

 mitocoの導入が企業規模を問わずに加速しているほか、2023年9月には「mitoco会計」をリリース。2024年3月に発表した債務管理、2024年中に投入を予定している債権管理を加えることで、Salesforce上で営業支援から販売、購買、会計までを一元化できるクラウドERPが2024年中に完成するという。オンプレミスでの利用が多い中小企業から中堅企業をメインターゲットに販売活動を強化する考えだ。

 また、Flosumとの国内独占販売パートナー契約を締結するとともに、同製品に関する国内ユーザー向けサポートセンターを設立。さらに、建設業界向け管理ソリューションのHardHatと国内におけるインプリメントパートナー契約を結んだ。佐藤氏は、「海外で売れている製品をいち早く日本で紹介するビジネスを事業の柱の1つにしていく」と述べた。

 そのほか、富士通ジャパンから「GLOVIA OM」ライセンスの全社移行を完了。テクノスジャパンとの資本業務提携により、GLOVIA OMやmitoco、CBPの開発において連携を進めていることも示した。また、セゾン情報システムとの共同事業だったDataSpider Cloudを事業継承し、自社製品のmitoco Xとして提供を開始。製品事業戦略およびソリューション事業戦略を強化している。

 4月12日にNTTデータと資本業務提携を発表した。NTTデータの顧客基盤などに対してSalesforceの導入を加速し、テラスカイグループ全体として3年間合計で170億円の売上創出を目指す計画を明らかにしている。

 人材投資にも積極的だ。グループ全体の社員数は、前年から256人増の1248人に拡大。そのうちテラスカイ・テクノロジーズが125人増加しているという。「採用市場は引き続き競争が厳しいが、今年度も多くの採用を進めていく」と佐藤氏は述べ、地方での人材獲得を目的に、2024年春には秋田市および松江市でそれぞれ拠点を開設する計画。今年度も新たに2拠点ほど地方自治体と立地協定を結ぶ予定だという。

 同社のSalesforce認定資格者数は国内2番目で、認定資格保有数は約3500となっている。「2023年からテラスカイ・テクノロジーズでの採用および教育が本格化したことで、認定資格保有数が急速に増加している。今年度は国内1位になりたいと考えている」と佐藤氏は意気込んだ。

Salesforce認定資格者数の推移
Salesforce認定資格者数の推移

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