「THE NEW CONTEXT 2006 Conference」の開催にあわせて米国Mozilla Corporationの最高経営責任者(CEO)であるMitchell Baker氏が来日した。
Mozillaはもともと、オープンソースのプロジェクトとしてMozilla FoundationというNPO(非営利団体)で開発されていたが、NPOで製品を作るという活動が税務上さまざまな問題にひっかかるという理由で、同NPOが企業としてMozilla Corporationを形成することになったという経緯がある。
オープンソースのMozillaプロジェクトからは、Internet Explorerと並んで主要なブラウザとなりつつある「Firefox」が開発され続けている。また同プロジェクトが開発するメールソフト「Thuderbird」も、最近になって、そのプレゼンスが高くなりつつある。Mozillaプロジェクトに携わり、Mozilla FoundationとMozilla Corporationで大きな役割を占めながら、オープンソース開発のあるべき姿を模索し続けるBaker氏に、その最新事情を聞いた。
「NPO×企業」という新しい形態
――Mozilla Corporationが創設されて1年が経つわけですが、振り返られて、どう思われますか?
われわれにとってまず必要だったのは、オープンソースプロジェクトの運営の中から生まれてきた企業というものが、どういう役割を持つのかを理解することでした。これについては、われわれもまだ完全に理解に至っているわけではありません。
Mozillaプロジェクトの運営には、Mozilla Foundationと、そこから派生したMozilla Corporationの2つが関わっています。この2つは1つの目的を共有しています。
もともとはNPOとしてFoundationが運営主体だったのが、米国の複雑な税制などの問題からMozilla Corporationが誕生したわけです。
外部との付き合いがしやすくなった
この2つの組織でプロジェクトを運営してきて、まず見えてきたのは、政府や他の企業といった外部の方々との付き合いがしやすくなったということです。
NPOと私企業の組み合わせという一見すると大変、難解でわかりにくい存在に見えますが、他との取引をする際には、例えば企業側のレイヤーを引き出してきて、うちは企業ですからと企業としての形態で取引をすることができ、相手の側にも「Mozillaは企業」という形での理解が得られます。一方、その逆のことが起こることもあります。
ただ、中にいる人間の側は、このどちらか一方で頑張るというのではなく、Mozillaプロジェクト全体の利益を尊重して活動しています。つまり、たとえばMozilla Corporationの側にとっては都合がよくても、プロジェクト全体にはよくないことがあれば、われわれはプロジェクト全体の利益の方を尊重させる、ということです。
「オープンソース×企業」という関係の構築
――Mozillaは、オープンソースプロジェクトでありながら、IBMやGoogleといった企業と深い関わりを持っていますね。
ええ、Mozillaプロジェクトは、これまでも常に強い商業的関心を引きつけていました。そもそもプロジェクトの始まりもブラウザの商用化を狙ったNetscapeに端を発しています。
IBMは、企業ユース、特にウェブアプリケーションを利用するプラットフォームとしてのMozillaに強い関心を抱いています。こうした関心を抱く会社は他にもいくつかあるのですが、われわれは特にIBMと強い関係を築いていきました。
一方でGoogleとYahooの2社ともいい関係を築いてきました。彼らはわれわれにとって非常に重要な財源も提供してくれています。
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