Mozilla Foundationは米国時間9日、Firefoxブラウザなどに深刻な脆弱性が見つかったことを受け、ユーザーを保護するための暫定的な回避策を公開した。
この修正パッチは、新たに見つかった脆弱性を悪用した攻撃からユーザーを守るためのもの。この脆弱性により、攻撃者はユーザーに気づかれることなくPC上で悪質なソフトウェアを実行できてしまう。この脆弱性は、セキュリティ研究者のTom Ferrisによって8日夜に明らかにされ、Mozillaスタッフが対応に追われることになった。
Mozilla開発チームのエンジニアリングディレクター、Mike Schroepferによると、この問題はFirefoxとMozillaの両ブラウザによるInternational Domain Names(IDN)の処理方法に関連するものだという。IDNとは各国独自の言語を使うドメイン名のことで、公開された修正パッチはこのようなウェブアドレスのサポートを無効にするためのものだと、同氏は説明している。
「これは、当面の問題に対処するだけの一時的な回避策に過ぎない」とSchroepferは述べている。「われわれは、現在開発中のバージョンでこの問題を完全に修正し、IDN機能を再度有効にしていく」(Schroepfer)。IDNのサポートを無効にすると、この特殊なドメイン名を実際に利用しているFirefox/Mozillaユーザーの一部には影響が出ると、同氏は説明している。
この脆弱性を悪用した攻撃はまだ報告されていないが、MozillaはFirefoxおよびMozillaのユーザーに対し、IDNを無効にするように呼びかけている。「幸いにも、このセキュリティホールが悪用されたという報告は受けていないが、攻撃が行われれた場合は、かなり深刻な結果が予想される。したがって、ぜひこのパッチをダウンロードして欲しい」(Schroepfer)
Mozillaは、Firefox 1.5のベータ2でこの脆弱性を修正する見込みだ。Firefox 1.5は同ブラウザの次期リリースとなるもので、ベータ2は10月5日にリリースされる予定となっている。Schroepferによると、1.5の完成版は年末までに登場する見込みだという。
Mozillaは自らのウェブサイトで、ダウンロードして利用する修正パッチにに加え、手動でIDNを無効にする方法も公開している。その方法とは、まずアドレスバーに「about:config」と入力してEnterキーを押し、フィルタツールバーに「network.enableIDN」とタイプしてEnterキーを押す。そして、「network.enableIDN」アイテムを右クリックして、トグルバーで値を「false」にする、というもの。
FirefoxおよびMozillaでは、以前にもIDN関連の問題が生じたことがあった。今年2月に公開されたFirefoxのセキュリティアップデートでは、この特殊ドメイン名を使ってドメインスプーフィングを可能にする欠陥が修正された。この問題は、一見正当なURLをつながるリンクをクリックすると、信頼できるサイトではなく偽のウェブサイトに飛ばされてしまう、というものだった。
ブラウザのセキュリティ問題というと、MicrosoftのInternet Explorer(IE)にばかり話題が集中しがちだが、他のブラウザにもそれなりに脆弱性が見つかっている。FirefoxはIEに比べてセキュリティ問題が少なく、それがFirefoxの売り文句となっており、またそのためにIEの市場シェアはこの数年で初めて落ち込み始めている。
しかし、Firefoxにもまたセキュリティの問題が見つかっており、正式版の公開以来いくつかの深刻なセキュリティホールが修正されている。また、専門家のなかにはもはや安全なブラウザなど存在しないという者もいる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ