テンアートニがサイオステクノロジーに社名を変えたのは2006年11月。Intranetを逆さ読みしたテンアートニを惜しむ声もあったが、グローバルなビジネス展開にあたり、認知度を高めるために、SIOS(Software for Innovative Open Solutions)に変更した。社名変更には、同社の今後の事業展開への決意が込められている。
SteelEye買収をドライブフォースに
サイオスのビジネスは堅調のようだ。社長の喜多伸夫氏は最近の経営状況をこう説明する。
「この3月末に終了した2007年第1四半期は、過去最高の売上げを記録しました。さらに2006年6月に買収したSteelEye Technology(スティールアイ・テクノロジー)も過去最高の第1四半期売上げを達成、今年はさい先よいスタートを切ることができました」
同社のビジネスは大きく2つに分類できる。ひとつはLinux関連事業、そしてもうひとつはJava関連事業である。
Linux事業では、Red Hat Enterprise Linuxのサポートがメインだが、そこに新たに買収したSteelEyeの高可用性(High Availability:HA)クラスタソフトウェア「LifeKeeper」とレプリケーションツール「SteelEye Data Replication」のビジネスが加わった。OSだけでなく、OSまわりの製品も充実、そしてワールドワイドにビジネス展開する足がかりも得た。
「SteelEyeの売上は、2006年の第3四半期から連結対象として全体の売上に加わったのですが、特にその伸びが著しいですね。米国では対前年度比43%の伸びとなっていますが、国内でもSteelEyeの事業は同程度の伸びで、それが全体を底上げしている感じです」
サイオスがSteelEyeを買収、同社のHAソフトウェアを手中に収めることで、 Linux関連事業をさらに拡大することが可能になった。もうひとつの事業セグメントであるJava関連事業も、Javaのオープンソース化が同社の事業全体への追い風となっている。
機能強化とパートナープログラム
SteelEyeの製品について同社は2006年9月、LifeKeeperの機能強化と新たなパートナー戦略を打ち出している。
ひとつは、主力商品LifeKeeperの全面改良。LifeKeeperの機能を大幅に拡張した「LifeKeeper for Linux v6」を投入、仮想化環境での運用を可能とし、ブレードサーバのオートブート機能、リソースアロケーション機能を使ったシステム構成にも適用できるようにした。
一方、ネットワーク経由で非同期ミラーリングを実現する「SteelEye Data Replication for Linux」では、サーバ内データを保護するデータレプリケーションの機能を強化、ネイティブに非同期ミラーリングが可能になった。
同時にサイオスは、SteelEye製品の拡販で新たなビジネスパートナープログラムを立ち上げている。