Platform-as-a-Service(PaaS)分野におけるオープンソース戦争は、2014年12月に「Cloud Foundry Foundation」が設立されたことで「Cloud Foundry」陣営の勝利に終わったと感じられるかもしれない。しかし「OpenShift」を推進するRed Hatは納得していない。
Red HatはOpenShiftの進歩を促すために、同社のPaaS向けの新たなオープンソースコミュニティーのイニシアティブ「OpenShift Commons」の設立を発表した。同社によるとOpenShift Commonsは、積極的にOpenShiftの普及を担う企業という枠組みを超え、その他のオープンソース技術コミュニティーや組織、エコシステムのパートナーを受け入れるという。
とは言うもののCloud Foundry Foundationと同様に、OpenShift CommonsにはCisco SystemsやDell、Dockerといった多くの大手クラウド企業が含まれている。またOpenShiftは、他のオープンソースPaaSプログラムすべてと同様に、優れたオープンソース技術を複数組み込んでいる。
このソフトウェアスタックは、「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)をベースにしている。その上には「Docker」や「Project Atomic」、Googleの「Kubernetes」といったコンテナのレイヤが配置される。OpenShift Commonsは、OpenShiftにおけるオープンソースのアップストリームである「OpenShift Origin」のコードを共有するための手段というだけでなく、今日の継続的な配備やアジャイルソフトウェア環境で有効となるベストプラクティスやユースケース、パターンを共有するという目的も有している。加入に際しては、貢献者ライセンス同意書(Contributor License Agreement:CLA)やコードの貢献に対する要求、入会金は現時点では設定されておらず、この新PaaSスタックへの協力表明だけでよいようになっている。
プレスリリースのなかで、Red HatのOpenShift担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるAshesh Badani氏は「顧客やパートナー、それらのコミュニティーからは、こういったグループすべてが力を合わせ、PaaSイノベーションの未来に向かって進んでいくために手を貸しあえるような、真のオープンコミュニティーを望む声がわれわれの元に寄せられてきており、Red Hatは業界の幅広い協力を醸成するためのコミュニティーの発展を手助けできることに誇りを感じている」と述べている。
OpenShiftの試みは功を奏するだろうか?Red Hatと同社のパートナーは、そうなることを願っている。PaaSという技術はまだ成熟しきっていない。PaaSが企業コンピューティングの大黒柱になるには、OpenShift CommonsやCloud Foundry Foundationといったグループで企業や開発者が解決していくべき難題がまだ数多く残されているのだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。