「MSには学ぶべき点がある」--Linuxの“第2ステージ”に取り組むLinux Foundation

柴田克己(編集部) 2007年05月31日 12時27分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 IDGジャパンの主催による「LinuxWorld Expo/Tokyo 2007」が、東京国際展示場(東京ビッグサイト)で開幕した。開催初日となる5月30日、来日したThe Linux FoundationのエグゼクティブディレクターであるJim Zemlin氏が記者会見を行い、今後の同組織の運営方針について説明した。

Linuxは「第2ステージ」へ

Jim Zemlin氏 Linux Foundationのエグゼクティブディレクターを務めるJim Zemlin氏

 Zemlin氏は冒頭、オープンソースソフトウェア(OSS)およびLinuxが、ホビーストのための技術から、アーリーアダプターを経て、すでにエンタープライズシステムにおいてもメインストリームとしての地位を得ている点を指摘。企業においても、オープンモデルが効果的であると認知されていることを示し、「Linuxは第1ステージは通過しつつある」とした。

 その上で「成長の第2段階」として、メインストリームとなっているもうひとつのプラットフォームであるWindowsとの比較、競合が避けられない状態になりつつあることに触れた。

 「Windowsが世界で最も成功しているOSであることは疑いようがない。Linuxは(成長の第2段階において)、Windowsのやり方に学べる点もある」(Zemlin氏)

 Zemlin氏は、Windowsを成功させたMicrosoftの「やり方」として、「プロモーション」「(他のプラットフォームへの)攻撃」「標準化」の3点を挙げる。The Linux Foundationにおいても、「プロモーション」「(攻撃に対する)防御」「標準化」の3点が、今後の活動の焦点になっていくとする。

 「Windowsは、これら3点が奏功して確かに成功を収めた。しかし、Windowsを採用することにより、ユーザーはマイクロソフトプラットフォーム以外の選択肢を失う。LinuxとOSSは、ユーザーに対して、その選択肢を与えるものである」(Zemlin氏)

 「プロモーション」に関して、The Linux Foundationはあくまでも中立な立場で、Linuxベンダーのコラボレーションとプロモーションのためのフォーラムを主催するほか、Microsoftから発せられるFUD(fear, uncertainty&Doubt)に対しても、対抗のメッセージを発信していくとしている。

 「MicrosoftがLinuxやOSSに対して特許侵害などをちらつかせるのは、ビジネスの一環。ユーザーやLinuxにかかわる人々の恐怖心、恐れを喚起すれば、それだけで、彼らにとっては利益になる。そうしたやり方を気にする必要はないという意見がコミュニティでは大きい」(Zemlin氏)

 もちろん、それが訴訟問題などに発展する可能性もある。The Linux Foundationでは、Microsoftをはじめとする競合組織が、Linuxに対して「攻撃」を行ってきた場合の「保護」にも力を割くという。訴訟問題への対応のほか、Linuxビジネスを行うベンダー各社にGPLv3に準じたライセンシングに対するアドバイスの提供も行う。また長期的な取り組みとして、関係の各団体と協議しつつ、既存の特許技術を整理して、OSSやLinuxのベンダーが認定された特許に抵触しない、新たな技術を容易に識別するための仕組みを構築していくという。

 Zemlin氏は、LinuxがWindowsから学びうる点のひとつとして「標準化の重要性」も挙げた。WindowsのAPI(Application Programming Interface)やABI(Application Binary Interface)のバックワードコンパチビリティが、プラットフォームとしての優位性を高めているとし、ツールの提供や認定プログラムもうまく機能しているという認識を示した上で、「Linuxは単独のプラットフォームではない。細分化非互換の問題は常に発生しうる。Unixはそうであったし、MicrosoftもLinuxが同じ状況になることを望んでいる」と、標準化の重要性を強調した。

 The Linux Foundationでは、その問題を回避するために、Linuxの無駄な細分化を避け、より多くの環境で互換性が保てるような標準化の取り組みを、多くのベンダーと共同で続けていくとした。

Linuxにとっての大きなチャンス

 Zemlin氏は、Windowsの現状について、OSが要求するマシンスペックの高さやウェブアプリケーションの隆盛などによって「上と下(のレイヤからの)板挟みにある」とした。Ajaxなどを用いたリッチインターネットアプリケーションがポピュラーになるにつれ、OS自体が持つ重要性は薄れてきているという認識だ。また、Linuxは携帯電話での利用も増えており、これはLinuxが次の段階へ進むための大きなチャンスであるとする。

 「(The Linux Foundationでは)Linuxの品質の良さ、一貫性の高さ、パフォーマンスの高さを目指した取り組みを行っていく。LinuxはNEC、富士通、日立、HPといった企業のビジネスに対しても重要な役割を担っており、こうした取り組みを進めていくことは、これらの企業の利益にもなると考えている。私は、Microsoftが市場から消えると考えているわけではない。ただ今後、Windowsのシェアが伸びることはなく、独占は続かないだろう」(Zemlin氏)

 LinuxWorld Expo/Tokyo 2007は、6月1日まで開催されている。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連キーワード
OS

SpecialPR